うどん 麺

うどん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/15 11:04 UTC 版)

小麦粉に2%から6%程度のを加えた生地から作られるのが一般的である。その理由は、小麦粉のグルテンを引き締め、生地の弾力性を増加させるためである。生地に加えた塩分の90%前後は、茹でる間に麺から失われる。ごく少数ながら、塩を全く使わないで作られるものもある。

小麦粉以外の炭水化物で作られるうどんもある。北海道倶知安町留寿都村では、第二次世界大戦中の食料不足時にジャガイモを原料にしたでんぷんうどんを再現して提供している[13]後述)。米粉が原料のうどん状麺類については「ライスヌードル」参照。

うどん用小麦

日本の伝統的料理であるが、現代において、使用される小麦の半分以上はオーストラリア産スタンダードホワイト(ASW)である。ASWが年間76万トン程度が輸入されているのに対して、日本での小麦生産総量は約80万トンで、中華麺や菓子向けなどを除いたうどん用品種は8割強である。低アミロース、もちもちした食感といった特性を備えたうどん向け小麦も日本国内で相次ぎ開発・栽培されている。「きたほなみ」「あやひかり」「きぬあかり」が代表的品種である[14]

規格

乾麺については、日本農林規格の「乾めん類品質表示基準[15]」にて、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地を帯状に細く切って乾燥させる製法で機械にて製造しているものは機械麺に分類し、長径[16]が1.7ミリメートル以上に成形したものとしている。また、長径[16]1.3ミリメートル以上1.7ミリメートル未満に成形したものは「ひやむぎ」の基準でもあるが、それを満たしている場合「細うどん」とも表示可能である[15]手延べうどんについては、小麦粉に食塩と水を混ぜてよく練った生地に、でん粉や食用油または小麦粉を塗付して、よりをかけながら引き伸ばして乾燥、熟成させる製法で長径[16]1.7ミリメートル以上の丸棒状または帯状に成形し、『手延べ干しめんの日本農林規格』の詳細を満たしているものが該当する。

生麺・茹で麺など(半生・冷凍麺なども含む)については製麺法を問わず「生めん類の表示に関する公正競争規約[17]」にて、「この規約で『うどん』とはひらめん、ひやむぎ、そうめんその他名称のいかんを問わず小麦粉に水を加え練り上げたあと製麺したもの、または製麺した後加工したものをいう」となっているため、この規約上「ひやむぎ」や「そうめん」も内包されており、狭義では「生麺・茹で麺タイプはうどんのみ存在する」とも解釈できる。しかし、別項にて「一般消費者に誤認されない名称に替えることができる」となっているため、それにより「ひやむぎ」や「そうめん」の名を使用することも認められている[18]

かつては製法の違い(麺棒や機械で生地を伸ばしてから切るか、細く丸めた生地を引いて伸ばすかなど)、社会通念上も、細い麺の「細うどん」と「ひやむぎ」は明確に区別されていたが、現在では「うどん(細うどん)」と「ひやむぎ」の名前の区別は基準・規約に沿ったうえで取り扱う業者に委ねられているため、乾麺・生麺などにおいて曖昧となっている部分がある。

製法の一例

  • 1人分の材料は、小麦粉260グラム(できあがり750グラム)、、食塩適宜。
  • 塩と水を混ぜる。
  • うどん粉を容器に入れ食塩水を少しずつ流し込んで混ぜ、固まるほどになったらしばらく寝かせ、板の上に載せ棒で伸ばして細く切る[19]

製法による分類

うどんの製麺風景

一般的な製法には、手打ち手延べがある。製麺機による製造もこの2つの製法の中のいずれか、もしくは全工程を機械で行っているものである[20]

手打ちうどん
小麦粉(一般的には中力粉)を水と食塩で練り上げた生地を練り、こねたあと一定期間寝かせたのち、よく踏み、麺棒で平たく伸ばし最後に、包丁で切ったもの。よく踏むことでグルテンが成長し、コシが出るのが特徴。包丁で切るため断面は四角になる。産地により食塩を入れないものも存在する。一部もしくはすべての工程を機械で行うことが可能で、機械で行ったものは「手打ち風うどん」と呼ばれる。
手延べうどん
小麦粉(薄力粉が多い)を水と食塩で練り上げた生地を練りあげたあと一定期間寝かせ、寝かした生地を2本の棒の両端にかけ何度も伸ばしたもの。伸ばす際に油を塗るものもある。細くてのど越しがいい麺が特徴。伸ばしの際、折れたり切れたりしないよう、コシがないのが一般的。伸ばして作るため断面は丸となる。練りには機械を用いるものも存在するが、伸ばす作業は人手によるものがほとんどである。この製法で作られるうどんは稲庭うどん(秋田県)や五島うどん(長崎県)、備中うどん(岡山県)が代表的な例である。

麺の状態による名称

うどん玉(ゆでうどん)
生うどんを製麺後、熱湯で茹でることにより麺の熟成を止め、1食分ずつに分けたもの。丸くまとめるため「玉」と言われている[21]。袋詰めにしたものは「ゆでうどん」としてスーパーやコンビニなどでも売られる。
カップ入りや袋入りのインスタント製品には、茹でたあとに、エチルアルコール保存料としてまぶし、真空包装にした製品もある。
生うどん
製麺後そのまま、もしくは表面に粉をまぶして包装されたもの。食味に優れるが、麺の熟成度が時間とともに変化するため長期保存には向かない。少しでも熟成や酸化を抑えるべく、脱酸素剤と一緒に包装している場合もある。
半生うどん
食べる直前に熱湯で茹で、湯切りのあとに流水で締めて供するのが正統。小麦の専用品種の作付けが増加している。脱酸素剤と一緒に包装している場合が多い。
干しうどん
一般的に「乾麺」と呼ばれる状態。細うどんに多い。製麺後に乾燥させて20センチ内外の棒状に揃え、保存しやすくしたもの。
冷凍うどん
熱湯で茹でた直後、急速冷凍したもの。一般的に麺類を凍らせると、凍結時に水分が膨張して分子構造が分断された状態となり食味に劣る。そこで茹で戻してからの弾力を得るため、冷凍うどんでは澱粉ツナギとして使われることがある。
油揚げ麺(フライ麺)などインスタント麺
カップ入りや袋入りのインスタント製品は、で揚げたり、フリーズドライや茹でてから熱風乾燥させたりしたものが使われている。

「コシ」について

コシとは、柔らかくて張力のある状態をいう。すなわち、伸長度のこと[22]。食感の硬いものを「コシ」があると誤認識している場合が見受けられるが間違いであり、歯で噛んだ際に弾力のあるものがコシである。讃岐うどんの場合、伸長度が1.7倍、たとえば5センチメートルのうどんを引っ張り8.5センチメートル以上切れずに伸びる状態を「コシ」があるとしている。

食品加工学研究者の三木英三(香川大学名誉教授)は、コシを「弾力性と粘りの両方がある状態」と定義。小麦粉に水と塩を加えてこねると、小麦粉に含まれる蛋白質のうち弾力性に富むグルテニンと、粘りが強いグリアジンが絡み合ってグルテンの網目構造となり、コシを生み出すと分析している。讃岐うどんや稲庭うどんでは強いコシが求められるが、関西や九州などコシが強くないものを好む地域・人も多い[23]


  1. ^ 「饂」の字の右半分「𥁕(昷)」は温の字の正字。音はウンまたはオン(ヲン)である(『新明解漢和辞典三省堂)。「饂」は国字であるため字音は決め難い。「ウンドン」または「ウドン」であることは『日葡辞書』に見え、「Vndon (ウンドン)ただし、ウドンと発音される」とある。
  2. ^ 食品自動販売機:自動販売機ジャパンビバレッジグループHP(閲覧2017年1月12日)
  3. ^ 「熱々うどんの自販機、どんな仕組み?機械の内部を拝見」朝日新聞デジタル(閲覧2017年1月12日)
  4. ^ 「うどん発祥の地に名乗り 13日に奈良でイベント」[リンク切れ]朝日新聞
  5. ^ 「麺のルーツを味わう - 奈良公園で索餅まつり」奈良新聞』2014年9月14日(2020年5月18日閲覧)
  6. ^ 「古代人が食べていた!?うどん再現 奈良公園のイベントで披露」[リンク切れ]産経新聞
  7. ^ うどん・そばも饅頭も 発祥の地博多 博多の魅力(2020年5月18日閲覧)
  8. ^ 「うどんのルーツに新説」[リンク切れ]四国新聞2009年(平成21年)3月25日閲覧
  9. ^ 後に、日本農林規格等により、うどんが区別されるようになった。
  10. ^ 鈴木晋一『たべもの噺』(平凡社、1986年)p.72
  11. ^ 【沿線おでかけリポート】第12回 伝統を味わう武蔵野うどん JR東日本八王子支社(2020年5月18日閲覧)
  12. ^ 大阪ではつゆを出汁だし)と呼ぶことがあるが、出汁とは昆布鰹節からうま味を抽出したものであり、つゆは出汁に醤油味醂などの調味料を加えたものである。大阪など一部の地域で混同して呼ばれていることが見受けられる。
  13. ^ 【継ぐメシ!つなぎたい郷土食】でんぷんうどん(北海道俱知安町・留寿都村)戦時の農家料理復活『日本農業新聞』2021年8月7日8-9面
  14. ^ 【論説】うどん用小麦/地場の個性 広域流通を『日本農業新聞』2020年7月8日3面(2020年7月9日閲覧)
  15. ^ a b 乾めん類品質表示基準 (PDF)
  16. ^ a b c 丸麺では断面の直径、角麺では幅を指す。
  17. ^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF)
  18. ^ 生めん類の表示に関する公正競争規約 (PDF) では一部特産品を除き「太さに関する具体的な数値による基準」や「形状に関する具体的な規定」を設けていないため、「うどん」「細うどん」「ひやむぎ」「素麺」等は見た目の形状や製造・販売業者の意向等により、一般消費者に誤認されない範囲で自由に選択して名付けられる。
  19. ^ 軍隊調理法』p.382
  20. ^ a b 『うどん大全』 旭屋出版、2006年。ISBN 9784751105696 
  21. ^ この「玉」という言葉は量の目安となり、「1玉、2玉」などという表現で使われる
  22. ^ 『うどん大全』 旭屋出版、2006年。ISBN 9784751105696 
  23. ^ 【探る】うどんのコシ こねて強く/二つのたんぱく質絡み合う『読売新聞』朝刊2018年3月15日(くらし面)
  24. ^ 丸天うどん うどんミュージアム(福岡県)2017年1月12日閲覧
  25. ^ 日本麺類業団体連合会ホームページ・そばの散歩道 - しっぽく
  26. ^ 日本辞典・卓袱うどん
  27. ^ 麻糸を紡ぐ時に使った糸巻き(糸車)のこと
  28. ^ 大竹敏之 『名古屋メン』 リベラル社、2012年6月3日、68-69頁。ISBN 978-4434166655 
  29. ^ 佐藤太郎 (1999年10月4日). “カレーはいかにして国民食になりしか 日本に広まったルーツ極める”. アエラ: p. 50. https://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=5076 
  30. ^ カレー産業”. 2020年5月24日閲覧。
  31. ^ “小倉発祥の味博多に浸透中 どきどきうどん 出店相次ぐ 店ごとに個性「癖になる」”. 西日本新聞. (2009年6月17日). オリジナルの2009年6月19日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20090619105454/http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/102868 2017年11月17日閲覧。 
  32. ^ 姫路名物グルメ8.焼きそばと焼きうどんが合体!ちゃんぽん焼き 大日本観光新聞(2020年5月18日閲覧)
  33. ^ ㈱八角 - うまいもん横丁のちゃんぽん焼きが「関ジャニ∞横山君が選ぶ最も食べたいご当地うどん」に。
  34. ^ a b c うどんの百科事典 日本中の「ご当地 うどん」が大集合!うどんミュージアム(2020年5月18日閲覧)
  35. ^ 後の北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線。2006年廃線
  36. ^ a b c d e f g 各地に伝わるふるさとの味として、2007年(平成19年)、農林水産省により「農山漁村の郷土料理百選」の一つに選ばれた。
  37. ^ a b 東洋大学 研究プロジェクト「うどん文化の活性化」
  38. ^ a b 麺のまち「うどんの里館林」振興会
  39. ^ a b c 八王子市公式サイト 「食」によるまちおこし事例研究 (PDF) より。
  40. ^ うどん辞典:全国ご当地うどん<前編>(金トビ志賀)
  41. ^ All Aboutグルメ うどん「冷汁うどん」
  42. ^ 武蔵村山のうどん解説
  43. ^ a b 参考文献:影山正美「ホウトウ」『山梨県史民俗編』
  44. ^ 深谷市観光協会 煮ぼうとう
  45. ^ 「ほうとう」と「煮ぼうとう」うまい方を本家とする
  46. ^ 中信地方の山間部に伝わる郷土料理として、柄の長い竹かごで蕎麦を茹でる「とうじそば(投汁そば)」なるものがあり、関連性があると思われる。共に標高の高い寒冷地であり、暖かくした麺を食べるための手法という点も共通している。
  47. ^ 氷見うどん高岡屋本舗より。
  48. ^ 上原善広『被差別の食卓』(新潮社、2005年6月) ISBN 4-10-610123-8
    こちら文芸&学芸書籍編集部(SOFTBANK Creative)メールマガジン「週刊ビジスタニュース」 2005年7月27日より。
  49. ^ ぶっかけうどん物語
  50. ^ 【ご当地 食の旅】大豆うどん(広島県江田島市)歯応えほど良くヘルシー/つゆに甘み 飽きない味『日本経済新聞』日経+1(土曜朝刊別刷り)2020年4月11日、9面
  51. ^ コラム―鳴門うどん - 農林水産省中四国農政局 2019年6月12日閲覧
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  55. ^ あっ、たどつ「鍋ホルうどん(2020年5月18日閲覧)
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  57. ^ 日本コナモン協会:コナモザイク(コナモン図鑑)「博多うどん」より。
  58. ^ 長谷川法世(「博多っ子純情」作者、博多町家ふるさと館館長)・福岡市麺類協同組合理事長 対談より。
  59. ^ 毎日jp 2008年(平成20年)1月28日掲載 グルメ都市福岡:「うどんも、まんじゅうも発祥」ミス福岡がイベントPRより。
  60. ^ 福岡うどんDB「福岡うどん」より。
  61. ^ a b 日清製粉東京営業部副部長「讃岐に待ったをかける博多うどんの逆襲」『JMAマーケティングeニュースレター』167号(2005年(平成17年)6月13日)・マーケティングホライズン(日本マーケティング協会)平成17年(2005年)5月号
  62. ^ a b 豊田謙二監修『九州宝御膳物語 おいしい郷土料理大事典』西日本新聞社、2006年、45ページ。
  63. ^ 長崎県五島手延うどん振興協議会「五島手延うどんの歴史」より。
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  65. ^ 宮崎県公式サイト: みやざきの味と花101: 61 魚うどん
  66. ^ NHK放送文化研究所「日韓市民意識調査」『放送研究と調査』2010年11月号
  67. ^ “外国人観光客に聞く、満足した日本食はナニ?”. ITmedia. (2010年7月27日). http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1007/27/news070.html 2021年8月7日閲覧。 






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