うつ病 病態

うつ病

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/19 23:47 UTC 版)

病態

うつ病は、単一の疾患ではなく症候群であり、さまざまな病因による亜型を含むと考えられる[15]

精神障害の診断と統計マニュアル』第5版(DSM-5)の診断基準Aによれば、「ほとんど1日中、ほとんど毎日の」の抑うつ気分、あるいは興味、喜びの著しい減退のほか、「ほとんど毎日の」不眠あるいは過眠、易疲労性、精神の焦燥や制止、無価値感や罪の意識、思考力や集中力の減退、体重の減少や増加、反復的な自殺念慮などがみられ、診断基準Bが重症であることを要求している。

うつ病と不安障害は併発しやすい。アメリカでの調査では、大うつ病者の51パーセントに不安障害がともなう[16]

うつ病の約8割から9割に不眠症が見られる[17]

分類

前史として、1899年にエミール・クレペリンは、統合失調症躁うつ病とに大きく分け、うつ病は躁うつ病に含まれた[18]

古典的分類

古典的な精神病理学は、内因、外因、心因という原因についての考察から分類がなされていた[19]。内因性うつ病とは、身体である体調の変化から気分が巻き込まれており、典型的には自生的に出現すると考えられた[19]。心因性うつ病とは、葛藤に苦しんでいるなど、環境との相互作用から起こるものである[19]

内因性うつ病という分類は、抗うつ薬というものが登場したばかりの1958年に、抗うつ作用を発見したローランド・クーン英語版が、イミプラミンの適応は内因性うつ病であり、効果が目覚ましいのは重いうつ病であると述べたことから大きく始まる[13]。この説をキールホルツが支持し、DSM-IIIの登場する1980年代まで定説となる[13]

メランコリー型

1980年にアメリカ精神医学会(APA)が出版した『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版(DSM-III)は、DSM-IIの内因性うつ病というカテゴリーを削除し、うつ病のサブタイプにメランコリー型という分類を追加した[13]。このメランコリーの特徴は、もっとも重篤な抑うつでまったく何も楽しめず、感じないといった特徴を持ち、最低限の栄養補給を誘導しなくてはならない[20]。そして、1987年のDSM-III-Rのメランコリー型の診断基準には、身体的な抗うつ療法によく反応したことという一文が加えられ、それを実証した研究がないため議論が起こった[13]。そのため実験が行われ、メランコリー型はそうでないものに比べて、身体的な抗うつ療法に良好な反応をするという知見は得られず、DSM-IVではこの基準は削除された[13]。当時は、反応の違いの原因は重症度であり、中等症のうつ病に抗うつ薬が奏功すると考えられた(現在の知見と異なる)[13]。なおDSM-IVではメランコリー型、DSM-5メランコリーと邦訳されている。

諸外国においても、操作的診断によるうつ病概念の混乱が生じており、ハゴップ・アキスカルジャーマン・ベリオス、ヒーリーをはじめとした英米圏を代表する学者13名は連名で、DSMを発行している『アメリカ精神医学会誌』において、大うつ病性障害からメランコリーを切り離し、1つの臨床単位として独立させる必要性を提言している[21]。食欲と体重が減少し、SSRI系抗うつ薬よりも三環系抗うつ薬によく反応し、内因性うつ病や典型的なうつ病と呼ばれてきたものである[21]

メランコリー親和型性格

メランコリー親和型は内因性うつ病を誘発する病前性格であり、テレンバッハが提唱した学説である[19]。几帳面、良心的、配慮できるといった特徴を持つうつ病の病前性格であり、自分の所属する「社会や集団での役割」に応えようとするなかで、不調が生じうつ病を発症する[19]。そのため、笠原は1978年にメランコリー親和型の患者への基本方針として、治ると説明し、休息させ、服薬の重要性を説明し、「患者という役割」に同一化させるという原則を提唱した[19]。内因性うつ病の語は現在では用いられないが、病像としては今なお考慮されている[22]

うつ病の典型は、内因性のうつ病であり、メランコリー親和型が病前性格であると、以前の日本ではとらえられていた[19]。そうして、日本では内因性うつ病と、神経症性うつ病との鑑別が重視された[23]。内因性うつ病は、身体疾患の影響や薬物など明らかな外部の影響が不明で、かといって性格も環境も原因ではなく、食欲と体重は低下し、朝に落ち込み、抗うつ薬が有効である[23]。神経症性うつ病は、そうした特徴がなく不安感を持ち、性格や環境に原因があり、抗うつ薬が効きにくいため環境調整や精神療法が必要である[23]

1980年代にはこうした性質が顕著ではなくなっているということが議論されており、現代型うつ病の議論が起こっている[18]。役割への同一化を示さない[19]

操作的診断基準による分類

1980年にアメリカ精神医学会(APA)が『精神障害の診断と統計マニュアル』第3版(DSM-III)を発表し、「うつ病性障害」を、ある程度症状の重い「大うつ病(Major Depressive Disorder)」と、軽いうつ状態が長期間にわたって続く「気分変調症(Dysthymia)」に二分した。原因による分類・定義が現時点では困難であるため、1994年に発表された第4版のDSM-IVと、『ICD-10 精神および行動の障害』でも、基本的にはDSM-IIIの構成が継承されている[11]

ICDおよびDSMにおける分類
ICD-10 (F30-39) DSM-5 抑うつ障害群

病相の回数による分類

ICDでは、うつ病相が1回のみの単一エピソードうつ病に対し、うつ病を繰り返すものを反復性うつ病(Recurrent depressive disorder)という[24]。DSMでも同様に、296.2x:単一エピソード、296.3x:反復エピソードである。

重症度による分類

DSM-5(5だけでなく以前からも)においては、大うつ病性障害の診断を満たすものについて、296.2x、296.3xの診断コードの末尾x部分に、さらに状態を細分する。

1:軽症(いくつかの愁訴が最低限の基準に該当する)、2:中等症、3:重症(社会的や職業的能力を著しく妨げている)に分類される。エピソード全体の15パーセントを占め、妄想・幻覚など「4:精神病性の特徴を伴うもの」(一般に「精神病性うつ病」とも呼ばれる)。症状が改善して診断基準を満たさなくなったものの、一部の症状が残存している「部分寛解」や、完全寛解などである。

治療反応性による分類

DSM-IVなど操作的診断基準では定義されておらず、基準は一定したものではないが、研究などでは「少なくとも2つ以上の抗うつ薬を十分な量・長期にわたり投与しても症状が改善しないケース」を治療抵抗性うつ病英語版あるいは難治性うつ病ということが多い。

原因

うつ病の発病メカニズムは複雑な要素(生物学的要素、心理社会的要素、社会的相互作用など)によるとされ[5]、さまざまな仮説が提唱されている。現在、動物実験によって、抑うつ状態に特有の神経回路機構が徐々に明らかとなりつつある。

ウイルス学的・環境生理学的研究としては、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)によって脳神経細胞嗅球細胞)の一部が細胞死することにより、うつ病や病的疲労が発生すると考えられている[25][26]。生物学的仮説としては、薬物の有効性から考え出されたモノアミン仮説、死後脳の解剖結果に基づく仮説[27]、低コレステロールがうつおよび自殺のリスクを高めるとの調査結果、MRIなどの画像診断所見に基づく仮説などがあり、現在も活発に研究が行われている。

モノアミン仮説のうち、近年はSSRIとよばれるセロトニンの代謝に関係した抗うつ薬の売り上げ増加にともない、セロトニン仮説がよく語られる。また、海馬の神経損傷も論じられている。

ウイルス学的・環境生理学的要因

ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6型)

2014年に「日本心身医学会」で近藤一博は、うつ病や疲労の原因にヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)が影響していること、およびこれを判定する「疲労測定法」について論文を発表した[25]。HHV-6はほとんどの人間の体内に潜伏感染しているが、1週間程度の疲労蓄積によって再活性化する[25]。特に脳神経細胞の中でHHV-6が再活性化すると、このウイルス由来の遺伝子タンパク「SITH-1」が産生される[25]。SITH-1の発現は、血中の抗SITH-1抗体を測定することで検証でき、主にうつ病患者から抗SITH-1抗体が多数検出されることが判明した[25]

2020年に近藤らは、『iScience』誌で「ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)の潜伏感染はストレス応答を亢進させることで、うつ病のリスクを著しく上昇させる」(Human Herpesvirus 6B Greatly Increases Risk of Depression by Activating Hypothalamic-Pituitary-Adrenal Axis during Latent Phase of Infection)という論文を発表した[28][29]。HHV-6(厳密にはHHV-6B)が潜伏感染している人体各部位で最も重要な一つは、脳内の嗅球細胞である[28]。嗅球で再活性化したHHV-6がタンパク質SITH-1を産生し、これが嗅球を細胞死させてうつ病を発症させる[26]

SITH-1抗体が検出された率(陽性率)は、健常者では24.4%、うつ病患者は79.8%であり、このことからうつ病患者の持つSITH-1は健常者よりも有意に多い[30]オッズ比で計算するとSITH-1陽性者は、うつ病罹患率が健常者の12.2倍に上昇している[30]。なお脳画像診断でも、うつ病患者の嗅球が減少しているとの報告がある[31]。近藤らは米国特許庁に「疲労レベル測定法とその応用」(Methods for Assessing Fatigue Level and Applications Thereof)などの特許を出願している[32]

生物学的要因

モノアミン仮説

1956年、抗結核薬であるイプロニアジド、統合失調症薬として開発中であったイミプラミンが、クラインやクーンにより抗うつ作用も有することが発見された。発見当初は作用機序は明らかにされておらず、ほかの治療に使われる薬物の薬効が偶然発見されたものであった。その後、イプロニアジドからモノアミン酸化酵素(MAO)阻害作用、イミプラミンにモノアミン類であるノルアドレナリンセロトニンの再取り込み阻害作用があることが発見された。その後、これらの薬物に類似の作用機序を持つ薬物が多く開発され、抗うつ作用を有することが臨床試験の結果明らかになった。よってモノアミン仮説とは、大うつ病性障害などのうつ状態は、モノアミン類であるノルアドレナリン、セロトニンなどの神経伝達物質の低下によって起こるとした仮説である。

抗うつ薬の販売者は自社製品を宣伝するために、セロトニンの欠乏によってうつ病が引き起こされており、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)が、この欠乏を正常化するとして宣伝しているが、これは監督庁による製品情報や査読論文によって裏付けられていない比喩的な説明である[33]

脳の海馬領域における神経損傷仮説

神経損傷仮説
近年MRIなどの画像診断の進歩に伴い、うつ病において、脳の海馬領域での神経損傷があるのではないかという仮説が唱えられている[34]。そして、このような海馬の神経損傷には、遺伝子レベルでの基礎が存在するとも言われている[35]
心的外傷体験が海馬神経損傷の原因となるという仮説
また、海馬の神経損傷は幼少期の心的外傷体験を持つ症例に認められるとの研究結果から、神経損傷が幼少期の体験によってもたらされ、それがうつ病発病の基礎となっているとの仮説もある。コルチゾール(cortisol)は副腎皮質ホルモンであり、ストレスによっても発散される。分泌される量によっては、血圧血糖レベルを高め、免疫機能の低下や不妊をもたらす。また、このコルチゾールは、過剰なストレスにより多量に分泌された場合、脳の海馬を萎縮させることが、近年心的外傷後ストレス障害(PTSD)患者の脳のMRIなどを例として観察されている[34]心理的ストレスを長期間受け続けると、コルチゾールの分泌により海馬の神経細胞が破壊され、海馬が萎縮する。心的外傷後ストレス障害(PTSD)・うつ病の患者にはその萎縮が確認される。

心理学的仮説

病前性格論

#古典的分類に示したように、日本では1980年代まで、うつ病の患者に几帳面な人が多いという定説があり、これは病前性格論におけるメランコリー親和型性格や循環性格を指したものであった[18]

フーベルトゥス・テレンバッハの唱えたメランコリー親和型性格は、几帳面・生真面目・小心な性格を示すメランコリー親和型性格を持つ人が、職場での昇進などをきっかけに仕事の範囲が広がると、責任感から無理を重ね、うつ病を発症するという仮説である。

従来は、メランコリー親和型性格がうつ病の特徴とされ、薬に反応しやすく、休養と服薬で軽快しやすいものであった[36]

しかし、近年ではうつ病概念の拡大や社会状況の変化に伴い、これらの性格に該当しないディスチミア親和型と呼ばれる一群の患者が増加しているとされる[37]。ディスチミア親和型はメランコリー親和型とは異なり、薬への反応は部分的であり、休養と服薬のみではしばしば慢性化する[38]。そのため、メランコリー親和型に準じた治療では改善がみられない[36]

ディスチミア親和型は、2004年に樽味伸が提唱したもので[36]、以下のような特徴がある[38]。若年層に見られ、社会的役割への同一化よりも、自己自身への愛着が優先する。また、成熟した役割意識から生まれる自責的感覚を持ちにくい。ストレスに対しては他責的・他罰的に対処し、抱えきれない課題に対し、時には自傷や大量服薬を行う。幼いころから競争原理が働いた社会で成長した世代が多く、現実で思い通りにならない事態に直面した際に個の尊厳は破れ、自己愛は先鋭化する。回避的な傾向が目立つ。

ディスチミア親和型うつ病とメランコリー親和型うつ病の対比(樽味伸、2005[37]
ディスチミア親和型 メランコリー親和型
年齢層 青年層 中高年層
関連する気質 スチューデント・アパシー
退却傾向と無気力
執着気質
メランコリー性格
病前性格 「自己自身(役割ぬき)への愛着
規範に対し、『ストレス』であると抵抗する
秩序への否定的感情と万能感
もともと仕事熱心ではない
社会的役割・規範への愛着
規範に対して好意的で同一化
秩序を愛し、配慮的で几帳面
基本的に仕事熱心
症候学的特徴 不全感と倦怠
回避と他罰的感情(他者への非難)
衝動的な自傷、一方で「軽やかな」自殺企図
焦燥と抑制
疲弊と罪業感(申し訳なさの表明)
完遂しかねない「熟慮した」自殺企図
薬物への反応 多くは部分的効果に留まる(病み終えない) 多くは良好(病み終える)
認知と行動特性 どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明 疾病による行動変化が明らか
予後と環境変化 休養と服薬のみではしばしば慢性化する
置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある
休養と服薬で全般に軽快しやすい
場・環境の変化は両価的である(時に自責的となる)

認知心理学

認知心理学は、人間の思考など認知過程を対象とした学問で1960年代より発展してきた。この認知心理学の学習モデルによれば、人間には思考が反復的に起こっているとされ、偏った思考と気分が関連づけされた場合に、問題が生じるとしている。その心理療法である認知行動療法は、有効性が科学的に確認されている。

ストレス脆弱性モデル

ストレス脆弱性モデルとは、ストレス自体の強さと、個人にはストレスに対する脆弱性があるという発症を説明する理論である。同様のストレスを受けた場合でも、ストレスに対して脆弱な場合に症状が生じるということである。

薬物やアルコールによる影響

DSM-IVでは、その原因が「物質の直接的な精神的作用」に起因すると判断される場合は、気分障害の診断を下すことはできないとしている。うつ病に似た症状が物質乱用や薬物有害反応により、起こされていると判断される場合、それは物質誘発性気分障害と診断される。

アルコール依存症または過度のアルコール消費は、うつ病の発症リスクを大幅に増加させる[39][40][41]。また、逆にうつ病が原因となり、アルコール依存症になる場合もある(誤った自己治療)[42]

ベンゾジアゼピン不安障害不眠症の人が服用する薬である[43]。アルコールと同様に、ベンゾジアゼピンは大うつ病発症リスクを増加させる。この種類の薬は不眠不安・筋肉痙攣に広く使用されている[44][45]。このリスク増加はセロトニンとノルアドレナリンの減少など、薬物の神経化学への効果が一因である可能性がある。ベンゾジアゼピン系の慢性使用も抑うつを悪化させ[43][46][47]、うつ症状は遷延性離脱症候群の1つである可能性がある[44][48][49][50]。2010年の厚生労働科学研究によれば、実際には睡眠薬抗不安薬としてベンゾジアゼピン系などが多く処方されているが、長期の安全性については疑問があるため適正使用ガイドラインなどが検討課題であると述べられている[51]

メタンフェタミン乱用も抑うつを引き起こすとして広く知られている[52]

社会的要因

貧困と社会的孤立は、一般的に精神的健康の問題のリスク増加と関連している。児童虐待(身体的、感情的、性的、またはネグレクト)も、後年になってうつ病を発症するリスクの増加に関連づけられている。

成人では、ストレスの多い生活上の出来事が強く大うつ病エピソードの発症に関連づけられている。生活上のストレス、社会的支援の欠如がうつ病につながる可能性がある。


注釈

  1. ^ 寝室が明るいと睡眠の質が下がり、うつのリスクが高まる[57]
  2. ^ 「Solving the Puzzle of Mystert Syndromes」によると、181人のうつ病患者(含自殺願望の患者)の口中から水銀アマルガムの詰め物を取り除いた結果、全員が完治または改善を報告している。
  3. ^ 以下は学会声明からの引用[118]

    APA診療ガイドライン遺産集

    これらのガイドラインは5年を越えた古さであり、現行の知見と診療〔実践〕を反映していることを保証する更新は、まだ行われていない。国家標準集──医療研究品質機構国家ガイドライン情報局クリアリングハウス〕の国家標準を含む──に従い、もはやこれらのガイドラインが現行であると見なされることはあり得ない。

    (原文:APA Practice Guidelines Legacy Collection
    ...
    These guidelines are more than 5 years old and have not yet been updated to ensure that they reflect current knowledge and practice. In accordance with national standards, including those of the Agency for Healthcare Research and Quality's National Guideline Clearinghouse, these guidelines can no longer be assumed to be current.[118]
  4. ^ 原題: “WPA/PTD Educational Program on Depressive Disorders” [142][143]
  5. ^ 原文: “the effect of psychotherapy alone is as great as the combined effect of psychotherapy and antidepressants, why bother with the drugs?” [145]
  6. ^ ”Step 3: persistent subthreshold depressive symptoms or mild to moderate depression with inadequate response to initial interventions, and moderate and severe depression - For people with moderate or severe depression, provide a combination of antidepressant medication and a high-intensity psychological intervention (CBT or IPT).” (英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.5.1.2)
  7. ^ なお、非定型うつ病については、欧米ではモノアミン酸化酵素阻害薬(MAO阻害剤)が第一選択として活用されているが、その激しい副作用と厳しい食事制限のため、2012年現在日本で認可されているものはない。NICEはMAOIの処方は精神医療専門家のみが行われなければならないしている[178]
  8. ^ ”Do not use antidepressants routinely to treat persistent subthreshold depressive symptoms or mild depression because the risk–benefit ratio is poor,”(英国国立医療技術評価機構 2009b, Chapt.1.4.4)
  9. ^ David Taylor(チーフ薬剤師精神薬理学教授)、Carol Paton(チーフ薬剤師、名誉研究員)、Shitij Kapur(精神医学研究所学部長・教授)らによって著された向精神薬の処方マニュアルである[206]
  10. ^ "Surprisingly, there is limited evidence that antidepressants reduce suicide risk. Because depression is one of the most significant risk factors for suicide, however, antidepressants may be essential in the treatment of suicidal patients for depressive-symptom reduction." (アメリカ精神医学会 2004, pp. 378–379)
  11. ^ 原文: “antidepressants are not recommended for the initial treatment of mild depression, because the risk-benefits ratio is poor.” [211]
  12. ^ 原文: “patients of all ages with mild depression of the benefits of following a structured and supervised exercise programme.” [211]
  13. ^ 以下はガイドラインからの引用[223]
    われわれのDTD〔難治性うつ病 Difficult-to-Treat Depression〕患者へのrTMS推奨は、英国国立医療技術評価機構(NICE)と王立オーストラリア・ニュージーランド精神医学会(RANZCP)の大うつ病性障害(MDD)の治療についてのガイドラインに沿っている。これに対し米国精神医学会(APA)は、rTMSをMDDの治療法として記載しているが、DTD患者への選択肢として言及してはいない。ただし、このAPAガイドラインは2009年に案内されたものである。すなわち、DTDにおけるrTMSの新しいエビデンスが過去10年間に現われている。

    (原文:Our recommendation of rTMS for patients with DTD is in line with both the National Institute for Health and Care Excellence (NICE) and the Royal Australian and New Zealand College of Psychiatrists (RANZCP) guidelines for the treatment of Major Depressive Disorder (MDD). In contrast, the American Psychiatric Association (APA) lists rTMS as a treatment of MDD but does not mention it as an option for patients with DTD. However, the APA guidelines were conducted in 2009; new evidence for rTMS in DTD has emerged in the past decade. [223]
  14. ^ APA (2010) においては、大うつ病性障害の初期治療においてのTMS使用を支持する根拠は現在不十分であるとしている[226]。TMSはECTと比較したランダム化試験において、ECTより効果が低いか、あるいはECTと同等の効果であるとしている[227]。APAは治療抵抗性うつ病に対しては、ECTよりも支持根拠は少ないが、選択肢の一つとしてTMSを検討するとしている[219]

出典

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