元大関・栃東 玉ノ井太祐さん
一病息災
[元大関・栃東 玉ノ井太祐さん]脳梗塞(3)精神的な重圧、頭痛にも
20歳から幕内で活躍し、抜群の相撲センスで横綱や大関陣を苦しめたが、肩の骨折や脱臼など度重なるけがにも泣かされた。
5年近くも大関候補と言われながら足踏みが続いた。2001年後半、ようやくけがが癒えてきた。
関脇3場所で計34勝を挙げ、25歳で念願の大関に昇進した。父(元関脇・栃東)が果たせなかった夢をつかんだ。
新大関の場所は13勝2敗で初優勝。若貴兄弟に続く日本人横綱への期待が、一身にかかった。しかし「自分の力はまだそこまでない。大関になったばかりで気持ちも追いついていない」と感じていた。弱気が出たのか、初めての綱取りの場所は10勝止まりで終わった。
上を目指すうちは、無心で相撲を取っていた。上に行くほど「恥ずかしい相撲は取れない」という精神的な重圧が、肉体的な疲労以上にのしかかる。どの場所も千秋楽を迎える頃には「食べても食べても、気疲れで体重が10キロ近く減っていた」と振り返る。
元々、遺伝性の高血圧があったが、緊張感から解放された場所の合間の健康診断では、異常は指摘されなかった。ただ、大関になった頃から時々起こる頭痛に悩まされていた。それでも、「一時的なもの」と我慢した。その後もけがで休場することが多くなっていった。
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元大関・栃東
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