元大関・栃東 玉ノ井太祐さん
一病息災
[元大関・栃東 玉ノ井太祐さん]脳梗塞(2)「食べるのも稽古」と大食、高血圧要因か
投げで振り回す相撲から、脇を固めて押す相撲に変えた。けがを教訓に、母校の先輩、若乃花(後の横綱)を見習った。まわしを与えず、低い姿勢で相手が引くところに付け入ることを徹底した。
一番下の序ノ口で3番休んだ後は26連勝。十両までの地位すべてで優勝した。1996年11月場所、初土俵から13場所、20歳の若さで新入幕を果たした。
新小結になって迎えた入幕5場所目、あこがれの若乃花と初対戦。相手のお株を奪うおっつけで快勝した。98年1月場所では「ぶつかると鉄板みたいに堅い完璧な横綱」の貴乃花にも初めて勝った。
技能賞など三賞常連となった同年3月場所。取組中に右肩を骨折した。大関を狙える地位に戻った時にも右肩を脱臼。満身 創痍 でも、休めば地位は下がってしまう。「けがは相撲を取りながら治すしかない。上に行けなければ、自分の力が足りないということ」という気持ちだった。
体を大きくするのにも苦労した。入門時は125キロほど。プロでは大きい方ではない。当時の幕内には200キロを軽く超える小錦や曙、武蔵丸がいた。「食べるのも稽古」と、昼と夕方のちゃんこにはご飯を丼3杯食べた。さらに焼き肉店やすし店に行くことも度々。そんな食生活が、持病の高血圧を悪化させる要因になったのかもしれない。
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元大関・栃東 玉ノ井 太祐 さん(39)
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