俳優 大沢樹生さん 42
一病息災
[俳優 大沢樹生さん]腹壁破裂(4)人を励ます役者へ 夢応援
「これからは、お母さんと呼びます。ずっと3人で楽しくやっていこうね」
2008年11月、東京・青山のパーティー会場。照れながら零次君が新しい母親にそんなメッセージを送ると、会場は温かな空気に包まれた。
前妻とは05年に離婚。シングルファーザーとして過ごした後、15歳年下の今の妻と出会った。この日は披露パーティーだった。
「零次は、なついてくれるのか」。そんな心配は杞憂だった。「今では何でも、私よりも先に妻に相談する。とても仲がいいですよ」
腹壁破裂を2度の手術で克服し、感音性難聴と闘っている零次君は今、中学3年生。来年に高校受験を控えている。
「俳優やりたいんだ」
今年の夏休み。零次君がボソッとつぶやいた。
「甘くない世界だぞ。台本は漢字がいっぱいで、勉強しないとダメだよ」
「光GENJI」としてスポットライトを浴びた後、仕事に恵まれず苦しい時もあった。それだけに口調もきつくなる。でも、うれしくもあった。親として、高校は卒業してほしいと思っている。
「役者になるならば、障害があるからこそできる役もあるはず。人を励まし、勇気づけられる。そんな人間になってほしい」(文・加納昭彦、写真・三輪洋子)
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