徐重仁のコンビニエンスストア事業における実績は、日本の後追いによるものばかりではなかった。日本よりも事業を軌道に乗せるのが早かったコンビニコーヒーやイートイン、現在も日本では実現していない新幹線のチケット販売などがそうだ。日本に先んじた商品展開やサービスはいかにして実現されたのか。(本文敬称略)

台湾セブン―イレブンの店内に設置されたコーヒーメーカー
台湾セブン―イレブンの店内に設置されたコーヒーメーカー

日本を追わず、独自展開で成功したサービス

 統一超商の社長としての徐重仁は、台湾と文化や風習が近く、流通経済が台湾よりも発展している日本のコンビニ事業を手本として研究し、成功事例を台湾に合うようローカライズする戦略に徹した。「日本は私の実験室」と語る徐は、失敗のリスクを最小限に抑えながら、利益や効果を最大限に得ることで台湾に流通経済を根付かせ、その成長をリードし続けてきた。

 そのため、台湾のセブン―イレブンが開発した商品やサービスは、日本のセブン―イレブンの“後追い”が多かった。しかし、徐が生み出した商品やサービスには、日本よりも先行し、独自に展開して成功を収めたものも幾つかあった。徐はそれらをどのようにして事業として軌道に乗せたのか。

 まずは「コンビニコーヒー」の取り組みについて見てみよう。

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