能登半島 北東側でも活断層ずれ動いたか 政府の地震調査委員会

能登半島地震について、政府の地震調査委員会は、能登半島の北西側だけでなく北東側でも、地震で海域の活断層がずれ動いた可能性が高いとする評価結果をまとめました。

能登半島地震について、政府の地震調査委員会は、複数の活断層が関わっているとみられるとしたうえで、能登半島の北西の「猿山沖セグメント」と呼ばれる海域の活断層がずれ動いた可能性が高いとしていました。

11日の定例の会合では、北東側の「珠洲沖セグメント」がおよそ3メートル隆起していたとする海上保安庁の調査結果が新たに示され、能登半島地震に伴う変動を示している可能性が高いとする評価結果をまとめました。

地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直名誉教授は、「地震前から存在が知られている海域の活断層と能登半島地震との関係がかなり明らかになった」と述べたうえで、今後、地下の構造を調べる必要があるとしています。

一方、2つの活断層の間には「輪島沖セグメント」がありますが、浅瀬のため船の調査が難しく地震との関連はわかっていません。

このほか、会合では富山湾の沖合で見つかっていた斜面の崩壊について海上保安庁が追加調査した結果、これまでの南北500メートル、東西80メートルほどから、南北3.5キロ、東西1キロほどと広範囲に及んでいることが報告され、地震調査委員会は津波と関係した可能性があるとしています。

千葉県東方沖の地震活動 減少しつつも注意

また地震調査委員会は、千葉県東方沖やその周辺の地震活動について評価結果をまとめました。

それによりますと、千葉県東方沖やその周辺では先月26日以降地震活動が活発になり、震度1以上を観測した地震は11日午後5時までに42回にのぼっていますが、最近は体に感じる揺れが1回も観測されない日もあるなど、減少しているということです。

房総半島では陸側と海側のプレートの境界がゆっくりとずれ動く「スロースリップ」によるとみられる地殻変動も観測されていましたが、次第に小さくなっているということです。

一方、過去には数か月程度地震活動が継続したケースもあり、地震調査委員会は今後も震度5弱程度の強い揺れを伴う地震に注意が必要だとしています。

平田名誉教授は「主な活動は終わりつつある印象を持つが、過去には地震活動が収まったあとに、やや大きい地震が起きたこともあるので、ひと月程度は注意してほしい」と話しています。

東日本大震災13年も「M7や8クラスの地震 確率高い」

東日本大震災から13年がたったことについて平田名誉教授は、引き続きマグニチュード7や8クラスの地震が起きる確率が高いとして注意が必要だと指摘しています。

平田名誉教授は、政府の地震調査委員会の定例の会合のあとに開かれた会見で13年前の巨大地震を振り返り、「岩手県沖から茨城県沖まで、岩盤が一気に破壊されるマグニチュード9.0の地震が起きる可能性を当時評価することできなかった。地震学が未熟だった」と述べました。

そのうえで、この13年の成果として南海トラフなど日本周辺のプレートの境界で起きる地震について、さまざまなケースを想定するようになったことや主要な活断層だけでなくそのほかの活断層も含め、地域をまとめて評価するようになったことをあげました。

一方、東北地方は巨大地震の前には東西方向に縮むように地殻変動が起きていたのに対し、地震のあとは東西方向に伸び安定していないとしています。

さらに、13年前に大きく滑らなかった場所がまだ残っているとして引き続き規模の大きな地震に注意が必要だと指摘しています。

平田名誉教授は「マグニチュード7や8クラスの地震が起きる確率は高い。巨大地震があったので東北はしばらく安全だと思わないことが非常に重要だ」と呼びかけています。