液状化で住宅が12mほどずれ動く“広域的な対策を”石川 内灘町

能登半島地震で液状化による甚大な被害が出た石川県内灘町では、住宅が水平距離にして12メートルほどもずれ動いていたことが専門家の調査でわかりました。地盤が横方向に大きくずれ動く「側方流動」が起きたとしたうえで、専門家は「復興には大規模な地盤改良など広域的な対策が必要だ」と指摘しています。

地盤基礎工学が専門の金沢大学の松本樹典 名誉教授は、液状化の被害が出た内灘町の状況を調査していて、20日もメキシコの研究者とともに現地を訪れました。

松本教授によりますと、これまでの調査で内灘町北部の室地区では、水平距離にして12メートルほどずれ動いている住宅が確認されたほか、大量の土砂が流れ込み地区にある水路を塞いでいる場所もあるということです。

これは、地盤が横方向に大きくずれ動く「側方流動」が起きたためで、動いた地盤の深さや距離を把握するにはさらに調査が必要だとしています。

松本名誉教授は「液状化の被害でここまで動いたケースを見るのは、自分の経験上初めてで、ショックを受けた。復興に向けては1軒ごとの対策ではなく大規模な地盤改良など広域的な対策をとる必要がある」と指摘しています。

内灘町は一時的な住民の集団移転を検討

液状化の被害を受け石川県の内灘町は、被災地の再建には大規模な地盤の整備が必要となるとして、一時的な住民の集団移転を検討しています。

対象となる可能性があるのは宮坂、西荒屋、室の3つの地区のあわせて700世帯余りで、町は今後、住民向けの説明会を開くなどして見通しを示していきたいとしています。