都営地下鉄 すべての駅でホームドア設置完了

都営地下鉄の駅で整備が進められてきたホームドアについて20日、すべての駅で設置が完了しました。

都は転落事故の防止などのため、ほかの鉄道事業者と協力して、都営地下鉄の駅でホームドアの整備を進め、今年度末までに、106あるすべての駅での設置を目指してきました。

これまでに、三田線や新宿線、大江戸線での整備は終えていましたが20日、最後となる墨田区にある浅草線の押上駅でも設置が完了し、これで都営地下鉄のすべての駅にホームドアが設置されました。

都によりますと、浅草線では、車両にセンサーを取り付けて駅側とドアの開閉を連動させる従来の仕組みではなく、車両に貼り付けた2次元コードを駅側のカメラで読み取ってドアを開閉させる新たな仕組みが導入されました。

これにより、当初、センサーの取り付けなどで20億円かかるとされた車両改修のコストは、2次元コードの印刷や貼り付けなどにかかるおよそ270万円にまで抑えたということです。

視覚障害者の団体「安全性の面では担保 非常に大きなもの」

都営地下鉄のすべての駅にホームドアが設置されたことについて、日本視覚障害者団体連合の三宅隆常務理事は「視覚障害者にとって、駅のホームを利用するのは『欄干のない橋を歩くようなもの』と言われていました。ホームドアをすべての駅に設置することで、確実に安全性の面では担保されるので、非常に大きなものだと思っています」と話していました。

三宅さんは、視力のほとんどがないということで「私も、電車の影が見えると思って乗ろうとしたら床がなく、危うく転落しかけたという経験があります。都内の人の移動が激しい駅だとホームの人や設置物をよけながら、転落しないよう移動するのは精神的にも難しいことです。ホームドアがあれば、転落の危険はなくなるので、非常に安心できます」と話していました。

そのうえで「QRコードを活用した技術で普及しやすくなるのであれば鉄道事業者で共有してもらいより早く、ホームドアの設置が進む方向に向かってほしい」と期待を寄せていました。

全国のホームドア設置状況

国土交通省のまとめによりますと、全国に鉄道の駅は9390あり、この中で電車が発着するホームの数は19919か所、このうち、1日当たりの平均利用者数が10万人以上の駅のホームの数は1056か所となっています。

国土交通省は令和7年度までにすべてのホームのうちの3000か所、1日平均利用者数が10万人以上の駅のホームでは、800か所でホームドアを整備する目標を掲げていて、去年3月末の時点でそれぞれ整備されているのは2484か所、493か所となっています。

整備されていない駅の中には、JR新宿駅や渋谷駅といった利用客数が多い駅も含まれています。

国土交通省の担当者によると、利用者数の多い駅では、終電から始発までの時間が短く取り付け工事を行う時間が確保しづらいこと、駅の構造上、ホームドアの重さに耐えられるつくりになっていないことなど、さまざまな事情があるということです。

国土交通省は利用客の多いところほど、ホーム上の混雑も起きやすくホームドアの設置は有効だとして、整備を促したいとしています。