東芝 TOB成立発表 応募比率は約78% 年内にも非上場化の見通し

東芝は、経営を安定化させる目的で株式の非上場化を目指すTOB=株式の公開買い付けで、応募の比率がおよそ78%となりTOBが成立したと発表しました。年内にも非上場化される見通しで、日本の製造業の代表企業のひとつが経営の大きな節目を迎えます。

東芝は、アクティビストと呼ばれる海外の投資ファンドを事実上、排除する目的で株式の非上場化を目指し、投資ファンドの日本産業パートナーズが先月から20日までTOB=株式の公開買い付けを行いました。

東芝は21日、TOBの最終的な結果を公表し、買い付けに応募した株式が全体の78.65%となってTOBが成立したと発表しました。

今後は、11月をめどに臨時株主総会を開き、残りすべての株式を買い取ったうえで年内にも非上場化される見通しで日本の製造業を代表する企業のひとつが経営の大きな節目を迎えます。

東芝をめぐっては、2015年に不正会計問題が発覚して以降、社長の辞任が相次ぎ、財務基盤の立て直しを目的にアクティビストの出資を受け入れたことが経営の混乱につながりました。

経営陣としては、非上場化によって経営の自由度は高まることになりますが、TOBに伴うおよそ2兆円にのぼる財務の負担を抱えながら成長投資をどのように進めていくのか、経営課題は残ることになります。

長期化した経営混乱 これまでの流れ

東芝は、2015年に不正会計問題が発覚して以降、およそ8年にわたって経営の混乱が続いてきました。

歴代の社長らが「チャレンジ」と称して、過大な売り上げや利益の目標を必ず達成するよう指示し、不正な会計処理につながっていたことが明らかになりました。

企業風土や組織体質の問題が指摘され、歴代の社長が相次いで辞任しました。

こうした中、2017年に傘下のアメリカの原子力発電プラントのメーカー、ウェスチングハウスが巨額の損失を出して経営破綻。

この影響で、東芝はこの年度の決算で日本の製造業で当時最大となる9600億円余りの最終赤字を計上しました。

債務超過に陥った東芝が上場廃止を避けるために頼ったのがアクティビストと呼ばれる海外の投資ファンドでした。

2017年に60社に上るファンドから総額6000億円の出資を受けました。

アクティビストが経営混乱につながる

ところが、そのアクティビストの存在が東芝のその後の経営の混乱につながります。

2021年11月、上場を維持したまま企業価値を高めようと、社会インフラや半導体などの事業を再編し、3つの会社に分割するという異例の方針を打ち出します。

しかし、アクティビストの反発で3か月後に方針を転換。

次に会社が示したのは、半導体事業を切り離す形で会社を2つに分割する方針でした。

ただ、これにもアクティビストが反発し、2022年3月の臨時株主総会で否決されます。

アクティビストを排除 今後の経営手腕が問われる

相次ぐ対立を受けて、東芝はアクティビストの排除に動き出します。

2022年4月、経営の再編策を外部から募集。

国内の投資ファンド、日本産業パートナーズが示した株式の非上場化を軸とした提案を受け入れることを決めました。

およそ8年に及んだ経営の混乱の中で、東芝は白物家電やテレビ、医療機器の主力事業を相次いで売却し、稼ぎ頭だった記憶用半導体の子会社も切り離してグループの姿が大きく変わることになりました。

東芝は、今後の主力事業をどのように位置づけ、会社の成長につなげていくのか、非上場の企業として経営の手腕が問われることになります。

東芝 島田社長「株主の理解に深く感謝」

非上場化に向けたTOBが成立したことについて東芝の島田太郎社長は「多くの株主の皆様に当社の考え方をご理解いただけたことに深く感謝申し上げます。当社グループは新しい株主のもと新たな未来に向かって大きな一歩を踏み出すことになりますが、企業価値向上に向けて尽力してまいります」とするコメントを発表しました。