阪神タイガースが「アレ」しても 群集事故に気をつけて!

目前に迫った阪神タイガース18年ぶりの「アレ」。

大阪 ミナミの道頓堀には、多くの人が集まることが予想されています。

過去には、道頓堀川に5000人以上のファンが飛び込む騒ぎも。

「アレ」を前に地元は盛り上がっていますが、人が密集すれば去年、韓国 ソウルで起きたような群集事故につながるおそれもあるとして、専門家が注意を呼びかけています。

盛り上がる道頓堀 騒動も

阪神が優勝するときまって多くの人が集まるのが、大阪の道頓堀。

これまでにさまざまな騒動が起きています。

このうち、1985年(昭和60年)のリーグ優勝の際には、熱狂的なファンがファストフード店に設置されていた「カーネル・サンダース人形」を胴上げし、道頓堀川に投げ込みました。

2009年に見つかったカーネル・サンダースの人形

人形は当時3冠王を獲得したバースさんによく似ているとされていました。

(その後、阪神は低迷し「カーネル・サンダースの呪い」とも言われたが、人形は2009年、24年ぶりに発見された)

大阪市によりますと、道頓堀川にファンが飛び込んだのもこの時が始まりとされているということです。


それから18年後、2003年のリーグ優勝時には、道頓堀の戎橋に多くのファンが詰めかけておよそ5300人が道頓堀川に飛び込む騒ぎに。

男性1人が死亡したほか、複数のけが人も出ました。

道頓堀の戎橋に集まる人たち

そして前回・2005年のリーグ優勝の時は、戎橋周辺の通行を規制するなどの対策が取られ、川に飛び込む人は大幅に減りました。

しかし、警察によりますと、周辺は一時、身動きが取れないほど混雑し、酒に酔った若者たちが近くの御堂筋の車道に飛び出したり、車の屋根にのぼったりしたということです。

群集の行動や事故に詳しい大阪工業大学の吉村英祐 特任教授は、この時偶然、道頓堀の近くにいたということで、当時の混雑の様子を撮影していました。

吉村さんは次のように振り返ります。

大阪工業大学 吉村 特任教授
「道頓堀に近づくとどんどん人が増えていき、戎橋に近づくことはできませんでした。集まった人たちは興奮した様子で、警察官や警備員も制止できていないように見えました。一般的に、警察官などの制服を見ると人は冷静になると言われていますが、当時は警備にあたる人たちも群集に埋もれてしまい、姿が見えなくなっていました」

「人がさらに集まりやすくなっている」

前回、2005年の混雑を目の当たりにした吉村さん。

川への飛び込みだけでなく、人が密集することによるリスクを強く感じたといいます。

そしてあれから18年がたった現在、次の3つの要因により、さらに人が集まりやすい状況になっていると指摘しています。

(1)スマホとSNSの普及
「ガラケー」が主流だった当時よりも動画や写真を簡単に撮影できるようになった上、SNSで拡散することで注目を集めやすくなった。

(2)インバウンドの観光客が増加
これまでの状況を知らずに訪れる海外の観光客が増えることが予想される。

(3)道頓堀の遊歩道の整備
川沿いの遊歩道が当時よりも整備され、橋だけでなく、近くの店舗からも直接、川に近づけるようになった。

群集事故を防ぐには

身動きがとれないほどに人が密集すると、「群集事故」が起きるおそれがあると吉村さんは指摘します。

去年10月には、韓国 ソウルの繁華街イテウォンでハロウィーンを前に仮装した若者などが密集し、日本人2人を含む150人以上が亡くなりました。

群集事故が起きた韓国 ソウルの現場

こうした事故を防ぐにはどうしたらいいのか、聞きました。

Q 私たちはどんなことに注意すればいいのでしょうか?

吉村 特任教授
「人が密集している場所では、足元に物が落ちていても見えにくいため転倒しやすく、1人でもつまずくと大きな事故につながるリスクがあります。特にお年寄りや背が低い人、それに子どもを肩車している人は危険なので、近づかない方が賢明です。危険を感じたらその場から引き返すことも考えてほしい」

Q 危険性を判断する目安はありますか?

吉村 特任教授
「1平方メートルあたりの人数が5~6人を超えると、引き返そうと思っても後ろから押されるなどして引き返せなくなります。目安は、エレベーターの中に例えると、定員オーバーのブザーが鳴りそうかどうか。鳴りそうだと感じるような場所は避けるようにしてください」

警察は1300人態勢で警戒

大阪府警察本部は、今回も阪神タイガースが優勝した場合はさまざまな事態が予想されるとして、およそ1300人の態勢で警戒にあたることにしています。

当日はミナミの繁華街などを重点的に警戒するほか、飛び込みを防ぐため戎橋への立ち入りを一部規制した上で、いわゆる「DJポリス」と呼ばれる機動隊員を配置し、歩行者の誘導や注意の呼びかけを行うということです。

待ちに待ったという人も多い18年ぶりの「アレ」。

後味が悪くならないよう、みんなでルールを守って行動し、喜びを分かち合いたいですね。