五輪「無観客」 おもてなし準備を進めてきた学生 複雑な思い

東京など1都3県では、すべての会場で観客を入れずに行われることになった東京オリンピック。メインスタジアムとなる国立競技場の近くにある大学の学生たちは、訪れる人たちを「おもてなし」したいと準備を重ねてきました。無観客の決定に複雑な思いを抱えています。

東京 渋谷区にある津田塾大学の千駄ヶ谷キャンパスは、国立競技場や東京体育館にほど近く、学生たちは訪れる人たちをもてなそうと準備を進めてきました。

大学の創立者、津田梅子にちなんで「梅五輪プロジェクト」と名付けられた、この取り組みは4年前に始まり、毎年、およそ200人の学生が参加。

3年前には得意の英語力を生かし、将棋会館や国立能楽堂といった地域の名所を英語で紹介する地図をつくって、JR千駄ヶ谷駅の構内に設置しました。

ことし3月に海外からの観客の受け入れ断念が決まったあとは、地図を国内から訪れる人向けにイラストを強調したものに作り直したといいます。
また、オリンピックやパラリンピックを見据え、携帯電話で話さないなど、外国人に、電車内でのマナーを守るよう英語で呼びかけるパンフレットも3000部つくりましたが、コロナ禍であることを踏まえ、オリンピックの時期には配ることはありません。
「梅五輪プロジェクト」の代表を務める総合政策学部の3年生、前田美樹さんは「千駄ヶ谷に毎日何万人もの人が訪れることを想像し『おもてなし』したいと思っていたので寂しいです。ただ、今の感染状況をみると、観客を入れないのは当然のことで、冷静に受け止めています。にぎやかな千駄ヶ谷を見たかった気持ちはありますが、命より大切なものはないので安心・安全な大会を開催してもらいたいです」と話していました。