妊娠中絶 去年5月以降減少 新型コロナによる収入減で中絶も

去年の人工妊娠中絶の件数は、新型コロナウイルスの影響が大きくなった去年5月以降、大幅に減っていたことが、国の研究班の調査で分かりました。一方で、新型コロナウイルスの影響による収入の減少などが理由で中絶を選んだ人もいたことから研究班は「低所得者への支援が必要だ」と指摘しています。

この調査は、日本産婦人科医会の安達知子常務理事らで作る厚生労働省の研究班が行ったもので、全国の合わせて192の医療機関を対象に去年1月から9月までに中絶を行った件数や状況などを詳しく調べました。

その結果、この期間の中絶件数は前の年の同じ期間と比べて12.8%減っていて、特に新型コロナウイルスによる緊急事態宣言などの影響が大きくなった5月以降は20%以上減った月もあったということです。

研究班によりますと妊娠自体が減ったことが影響した可能性があるということで、予期せぬ妊娠による中絶が増加する状況は確認されなかったということです。
一方で、中絶を選んだ理由について調べたところ新型コロナウイルスの影響があったのは全体の7.7%で、主な理由として収入が減少したなどの経済的な影響を挙げた人が多かったということです。
研究班の代表を務める安達常務理事は、「限定的ではあるが低所得者が出産をためらうなどの影響がみられる。経済的な支援の拡充が必要だ」と話していました。