首相 最低賃金引き上げ 目標維持も中小企業など考慮し検討を

首相 最低賃金引き上げ 目標維持も中小企業など考慮し検討を
最低賃金の引き上げをめぐり、安倍総理大臣は、政府の全世代型社会保障検討会議で、全国平均で時給1000円を早期に達成するとした目標は維持する一方、中小企業などの経営状況も考慮しながら引き上げ幅の検討を進めるよう指示しました。
会議では最低賃金の扱いが議題となり、内閣官房の担当者は、ここ数年で3%程度引き上げられてきたとする一方、ことし改定すれば、新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた宿泊業や飲食業では、引き上げが必要な労働者の割合が高くなると説明しました。

これについて、日本商工会議所の三村会頭と、全国中小企業団体中央会の森会長は、「売り上げや収益がリーマンショックを下回る水準で、体力の乏しい中小企業は引き上げに耐えうる状況にない」として、引き上げ凍結を主張しました。

これに対し、連合の神津会長は、「生活や雇用への不安がある中、最低賃金の改定は、セーフティーネット促進のメッセージになる」として、引き上げの継続を求めました。

このあと、安倍総理大臣は、「経済の好循環を回していくうえで賃上げは重要だ」と述べ、去年、閣議決定した、全国平均で時給1000円を早期に達成するとした目標は維持する考えを示しました。

一方で、「官民を挙げて雇用を守ることが最優先課題だ」として、感染拡大の影響を受けた中小企業などの経営状況も考慮しながら引き上げ幅の検討を進めるよう、加藤厚生労働大臣に指示しました。

連合会長「毎年 目標へ積み上げが大事」

会議のあと記者会見した連合の神津会長は「最低賃金の引き上げは、毎年、目標に向かって積み上げていくことが大事であり、それをストップすると、今までやってきたことが水の泡になってしまう。下手をするとデフレに舞い戻る可能性もある」と述べました。

そのうえで「雇用を守ることと、最低賃金を引き上げることは、対立概念ではない。引き上げないのは、しっかり働いてきた人たちに対する裏切りだ」と述べました。