国内最大の指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から分裂した指定暴力団神戸山口組(本部・兵庫県淡路市)が熊本市で被災者に食料や日用品を配布する支援活動を展開している。対立する山口組には表立った動きはないという。九州では両組織による切り崩し戦が激化しており、警察当局は勢力拡大や復興事業への参入を狙ったイメージ戦略の恐れもあるとみて、動向を注視している。
支援活動を始めたのは熊本市中央区に拠点を置く神戸山口組の直系組織。近所の人によると、地震発生後の15日ごろから7、8人の組関係者が事務所前にテーブルを並べ、ミネラルウオーターやカップめんなどの食料、トイレットペーパー、毛布などの日用品を配布している。張り紙などで配布を呼びかけ、避難所や炊き出しの会場で被災者に配って回る姿もみられたという。
熊本県内では、14日にマグニチュード(M)6・5の地震が観測されて以降、16日のM7・3の地震も含め、大きな地震が続いている。熊本市内でも自宅の崩壊などを恐れて帰宅できていない住民が多く、学校などに避難所が設けられているが、物資が行き届かない避難所もある。
組事務所近くに住む70代の男性は「水道はようやく出始めたところもあるが、都市ガスの復旧やスーパーの営業再開にはまだまだ時間がかかる。この時期に食料や水の配布は助かる」。60代の女性も「暴力団は恐ろしくて、これまでも付き合いはなかったが、正直なところ支援はありがたい」と話していた。