東大推薦日本一の山形東と、大学教授が授業を行う米沢興譲館。山形県が誇る「探究科」のスゴさに迫る!

歴史や校風、卒業生のネットワークまで、名門校の知られざる姿を通してその秘密に迫る「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東 毎週月曜夜10時)。MCに登坂淳一、角谷暁子(テレビ東京アナウンサー)、解説におおたとしまさを迎え、「名門とはいったい何か?」常識を打ち破る教育現場に密着する。


今回は、スタジオゲストに当番組のナレーションを務める眞島秀和さんを迎え、山形県にある名門校、「山形県立山形東高等学校(以下、山形東)」と「山形県立米沢興譲館高等学校(以下、米沢興譲館)」の魅力に迫る。

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進学率全国1位を誇り、中学校を卒業する生徒の98.9%が進学するという山形県。同県では、3年前に「山形東」「米沢興譲館」「山形県立酒田東高等学校」の3校に「普通科」とは別に「探究科」を設置。

探求科とは、「京都市立堀川高等学校」に設けられ、進学実績が上がったことから注目された学びのシステム。県を代表する3校に設置することにより、優秀な生徒が集まる「進学指導重点校」としての意味合いだけではなく、「単なる進学校では面白くない。『せっかく優秀な生徒が集まっているのだから、もっと攻めたことやろう』という意図があったのでは」と、おおた氏は分析した。

山形東 研究のためなら生徒自らコネクションづくり!


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山形東高校は山形駅から自転車で約12分の距離にあり、朝8時になると生徒たちが続々と登校してくる。制服はなく、きっちりした服装ならOKという「略服」制度を採用している。生徒の個性を尊重しており、スカートでもスラックスでも自由に選ぶことができる。ちょうどスラックス姿で登校してきた女子生徒に話を聞くと、「クラスにも5人くらいいる。単純に動きやすいから」とその理由を教えてくれた。

1学年の生徒数は240人。その歴史は長く、明治15年に山形県師範学校内に設置された学舎が前身。山形県知事や多くの政治家を輩出し、ドラマ化されて話題となった小説「教場」の作者・長岡弘樹さんもこちらの卒業生。

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難関国公立大や有名私立大に多くの合格者を出す、山形県トップの進学校だ。「文武両道」と「質実剛健」を掲げ、勉強だけではなく部活動にも力を入れている。

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今年、山形東では「探究科」の1期生が東大推薦入試に初めて挑戦。その結果、なんと3人が合格! 麻布高等学校、秋田県立秋田高等学校と並んで日本一となった。3000人近い東大合格者のうち、推薦合格者はわずか92人という狭き門。そんな探究科には、文系の「国際探究科」と理系の「理数探究科」があり、自分で見つけた課題を自分で解決していくという。いったいどんな学科なのか? 授業中の教室(理数探究科)に潜入した。

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2年生から始まる探求の授業は生徒が主体になって行う。水に混ぜた片栗粉の「ダイラタンシー」という現象を緩衝材やガードレールに応用する研究や、自然界で使われている数の先頭に偏りがあるという「ベンフォードの法則」が人に与える違和感の探求、微生物がゴミを分解することで電気を発生させる「微生物燃料電池」の研究など、さまざまなテーマで探求が行われていた。

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毎年、生徒が探究するテーマは100以上。探究のためなら海外に実験協力もお願いし、その研究費用は生徒自身で集めるという。しかも大学教授や企業などと自主的にコネクションを作ってくるというから驚きだ。生徒たちの「知りたい」という探究心が、高校生の枠を超えた活動を実現する原動力になっている。

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探究科導入に合わせ授業に導入したのが、ホワイトボード。探求科が設置された年から全校で利用し、生徒同士でペアを組んで問題に取り組む。これには、互いに教え合うことでインプットとアウトプットを繰り返し、より理解が深めるという狙いが。英語の授業では、スピーチの良いところと悪いところをお互いにフィードバック。現代文も班を組んで授業をしていて、生徒の1人は「グループで考えたほうが、1人で考えるよりもたくさんの考え方が吸収でき、自分の考えも高めていける」と手応えを語る。

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ここで、すごい生徒がいると聞き、3年生の教室へ。理数探求科の芦野心大さんは、ICT(情報通信技術)を利用して、学校のスケジュールや連絡事項がスマホで一目でわかるようプログラミングしたという。生徒はもちろん先生も「便利」と絶賛し、学校中で利用されている。「より多くの人が便利な生活が送れるようなシステムを作りたい」と語る芦野さんは、東大志望。推薦も考えているという。

最後に、山形東の探究科1期生で東大工学部に合格した小野琢さんにも話を聞いた。小野さんは「山形の暑さをなんとかしたい」という思いから、山形城の用水路を探求。理系の研究ではあるものの、用水路の研究を通じて歴史も学び、「いろんなことを知ることができ、自分で学んでいる感じがした」と語る。大学では日々、地球温暖化を根本的に解決するためにはどうしたら良いのかを探求し、エネルギー問題に取り組んでいるという。山形東での探求活動が大学での研究に見事に活かされていた。

米沢興譲館 全国でも珍しい大学レベルの遺伝子実験が!


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山形東・酒田東とともに探究科を導入した米沢興譲館高校の前身は、1697年に設立された藩校で、上杉謙信の精神を受け継ぎ、米沢藩主・上杉鷹山が教育の場として創立した。東大をはじめ、難関国公立大・私立大にも合格者を出す伝統ある名門校。当番組のナレーションを務める眞島さんの母校でもある。

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米沢興譲館では1年生から驚きの授業が行われている。教室に潜入すると、講義を行っていたのはなんと大学教授。米沢興譲館では1年生の時点で興味のある分野を選び、その道の第一人者の授業を受けられるという。そこで学びを深め、2年生からの探究テーマをより深いものにするのが狙いだ。

東北芸術工科大学の渡部 桂教授は「こういう機会に恵まれている高校生はなかなかいない。目的を持って興味関心がある中で、勉強を深める。何のために基礎の勉強をしているのかわかったほうが、それぞれの学習を深められるので非常に良い」と評価する。

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さらにこんな授業も。生徒たちがバスで向かったのは、「道の駅 米沢」。駅長から道の駅に関する情報を教えてもらい、熱心にメモを取る生徒たち。地元を盛り上げるため、観光拠点となる「道の駅」をフィールドワークで学び、課題を解決する情報を集めているそう。

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理数探究科2年生の教室では、大学レベルの授業が行われていた。自分の頬の内側から採取した遺伝子で、お酒に強いか弱いか体質を判定するという。「マイクロピペット」という専用器具を使って1mlの100分の1という微量の液体を正確に計測する、かなり高度な授業。担当の先生も「このレベルの実験をしている高校はなかなかないと思う」と語る。

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米沢興譲館について、卒業生の眞島さんは「今の高校生ってすごいですね! 校歌にもある通り、世の中のためになることをしたい。エンターテインメントの世界で生きている立場としては、 "世に尽くさん"という意識が活かされている部分もある」と、母校の教えを胸に俳優活動していることを明かしてくれた。

番組では他にも、高校時代の恩師から眞島さんへのメッセージ、「山形あるある」など、盛りだくさんの内容でお届けする。



9月27日(月)夜10時放送! 「THE名門校!日本全国すごい学校名鑑」(BSテレ東)は、「SDGsハイスクール特集」と題して送る。

人類が抱える様々な問題を解消し、2030年までに持続可能な社会を目指す「SDGs」。現在全国の高校にも導入され、社会を変える取り組みが行われている。そこで今回は「第一回全国高校生SDGs選手権」で総合優勝に輝いた広島県の私立武田高等学校を取材。全国でも珍しい部活「SDGs研究会」が地元Bリーグ「広島ドラゴンフライズ」と考案した、平和を拡散するアイデア「折り鶴リレー」とは?

さらに、SDGsへのコミットを宣言した東京都にある私立明星高校では、ジェンダー問題に取り組む生徒たちが「ジェンダーレス制服」を考案。その試作品を特別に角谷アナが試着。地球を救う高校生たちの斬新な発想の数々を紹介する。

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