第3節 国内市場の急伸長とレクサスの開発

第1項 国内販売250万台を達成

バブル経済下での市場

1980年代後半の日本は円高不況対策として金融緩和局面が続いた。この状態は過剰流動性を生み出し、1987(昭和62)年半ば以降、不動産など資産価格の高騰や個人消費の拡大に代表されるバブル経済をもたらした。自動車の売れ行きもその勢いに乗って著しい増加を示すことになり、とくに、1989(平成元)年4月の消費税の導入によって自動車関係諸税が軽減されると、高級車や輸入車など高価格車の販売が急拡大した。

導入時の消費税率は3%であったが、乗用車については1997年の消費税率改定まで6%の税率が適用された。これは自動車にとって税負担の大きな軽減であった。従来、自動車は奢侈品と見なされ、3ナンバー乗用車は23%、5ナンバーの小型乗用車は18.5%、軽乗用車は15.5%の物品税が課税されていたが、消費税の導入とともに課税が廃止されたからである。また、排気量別に税額が定められていた自動車税(地方税)も3ナンバー車で大幅に引き下げられるなど、自動車市場の活性化につながった。

その結果、軽自動車を含む総市場は1988年の672万台から1990年には777万台へとわずか2年の間に100万台余りも増加した。このうち、1980年代前半に400万台レベルで安定的に推移していた登録車は1990年には598万台とほぼ600万台の市場に膨らんだ。

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