京アニ事件後初の映画「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」公開 犠牲者も製作に参加
2020年9月18日 12時04分
京都アニメーション(京都府宇治市)の新作「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」が18日、全国公開の初日を迎えた。昨年7月の放火殺人事件で犠牲となった社員も製作に携わっており、事件後に京アニが完成させた初めての作品となる。
美術監督を務めたのは、事件で死亡した渡辺美希子さん=当時(35)。大叔母で切り絵作家の土田節子さん(76)=三重県桑名市=は「美希子ちゃんの関わった作品が、多くの人に長く愛されたらうれしい」と語った。
当初は1月の公開予定だったが、放火殺人事件の影響で4月に延期、さらに新型コロナウイルスの感染拡大で再延期していた。京アニの八田英明社長は7月の記者会見で「大変な事件が起きたが、1人1人の思いで(映画の)完成に行き着いた」と語っていた。
京都市中京区の映画館では18日朝、開館前からファンらが行列を作った。同市南区の会社員牧野良太さん(31)は「この日を待ち望んでいた。大変な中でも作品を作り続けてくれて、ファンとしてはありがとうという気持ち」と声を弾ませた。
初回上映後に劇場内で拍手が起こり、同市山科区の大学1年の女性(18)は「亡くなられたスタッフの思いが引き継がれた作品を見られて感動しました」と涙を浮かべて話した。
「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」シリーズは、軍人だった少女が戦後、手紙の代筆業を通じ愛の意味を探す物語。2018年にテレビアニメが放送され、昨年9月に、事件直前に完成した「ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝」が公開された。
(共同)
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