長時間労働で自殺の神奈川県職員の遺族に1億円賠償へ 県が和解案受け入れ、知事謝罪

2021年9月6日 18時39分
疲弊していく息子を見てつらかった経験を記した母親の手記=2019年11月13日、神奈川県庁で

疲弊していく息子を見てつらかった経験を記した母親の手記=2019年11月13日、神奈川県庁で

 神奈川県の男性職員=当時(37)=が2016年に自殺したのは長時間労働や上司のパワハラなどが原因として、職員の母親が県に約1億円の損害賠償を求めた訴訟を巡り、黒岩祐治知事は6日の定例会見で、長時間労働などを認め、母親に1億円の和解金を支払うなどの方針を明らかにした。横浜地裁が示した和解案に従う。(志村彰太)
 県によると、和解案には、県が長時間労働やハラスメントを防ぐ「安全配慮義務」に違反したことを認めることや、遺族への謝罪、再発防止策の策定などが盛り込まれている。
 知事は「誰に対しても優しく、仕事も優秀な職員だった。改めて遺族に心からのお悔やみとおわびを申し上げる」と話した。母親は代理人弁護士を通じ「思いをくんだ誠実な対応をいただいたことから、中間合意に至った。再発防止に向けて一層の取り組みがなされることを期待している」とのコメントを寄せた。
 県によると、男性職員は06年入庁。13年に知事室に配属されて上司から暴言を浴びせられ、16年に財政課に異動後は残業時間が「過労死ライン」の月80時間を超えるなど長時間労働が常態化し、同年11月に自殺した。19年4月に公務災害と認定された。

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