身体の悩みに関する調査で、上位に上がることが多い「腰痛」は、スマホの普及などにより若い人にも増加しています。背骨の専門病院で、最新の治療や予防法について聞きました。

 愛知県犬山市にある「あいちせぼね病院」。伊藤全哉(いとうぜんや)院長に話を聞きました。

伊藤院長:
「腰骨は腰から上の体重を支えるので、当然負担がかかってきます」

 腰痛の悩みは調査でも上位にあがり、「国民病」ともいえます。そして今、若い人にも多く起きているといいます。

【動画で見る】ヘルニアをつまんで引き出す…椎間板ヘルニアで『切らない手術』内視鏡治療のスゴさ 約2時間で傷口に絆創膏

伊藤院長:
「若い方はスマホをよく使われると思うんですが、スマホを見るときはどうしても首が猫背になってしまう。筋肉は上から下までずっとつながっていますので、腰の筋肉も疲れてしまう」

 スマホを見る際に猫背になり、腰の筋肉が疲労したり腰骨にも負荷がかかり、腰痛につながるといいます。

 腰痛の中でも特に怖いのが、「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」です。

 椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある椎間板が飛び出して神経を圧迫し、激しい腰痛や足のしびれを引き起こすことです。若い人も発症し、歩行が困難になるほどの痛みに襲われます。

 一般的な手術は、背中を切開して神経を圧迫するヘルニアを摘出します。体に負担が大きく、場合によっては入院が長期間に及ぶこともあります。

 しかし、伊藤院長が行うのは、直径7ミリの細い内視鏡を使ってヘルニアを取り除く「切らない手術」です。体に負担が少なく、手術後すぐに退院できるといいます。

 痛みで寝たきり状態の患者の手術を見せてもらいました。

 内視鏡から映されたのは、70倍に拡大された映像。実際は数ミリの世界です。

 特殊な器具を使い、ヘルニアをつまんで引き出します。

伊藤院長:
「大きいのきますよ。これが悩ませていたヘルニアです」

 手術はおよそ2時間で終わり、縫い合わせた傷口には市販の絆創膏を貼りました。いかに負担が少ないかがわかります。

 その3時間後、手術前は立ち上がることすらできなかった患者は、1人で歩けるようになりました。ヘルニアひとつで劇的な変化です。

患者:
「うれしいね」

 腰への負担を減らす予防策について、伊藤院長に教えてもらいました。

 ポイントになるのは姿勢です。椅子に座る際には「へそを前に押し出す感覚で座る」ことで、骨盤が前に出て腰への負担が軽くなります。

 腰痛を防ぐストレッチも教えてもらいました。腰へ直接アプローチするのではなく、まわりの筋肉を伸ばすことで、腰への負荷を減らせるといいます。

 椅子に腰かけて足を伸ばし、つま先を立てます。その状態で、背筋を伸ばしたままゆっくりと前屈します。太ももの裏側の筋肉が伸びていけば正しくできています。

 太ももの裏の筋肉が張ると、骨盤を後ろに引っ張り、腰が丸まってしまう原因になるため、柔らかくすると腰痛の予防になります。太ももの前もストレッチをすると、より効果的だということです。