歴史戦

ユネスコ、「世界の記憶」制度改正へ行動計画案発表 7月に改正案作成へ

 【パリ=三井美奈】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は「世界の記憶」(世界記憶遺産)の制度改正に向けた行動計画案を策定し、31日までに加盟国に提示した。2015年に中国申請の「南京大虐殺文書」が世界の記憶に登録された後、ユネスコが政争の場と化しているのを是正する狙いで、今月4日に始まるユネスコ執行委員会で協議される。

 行動計画案は、世界の記憶をめぐって、(1)ユネスコ事務局が今年5、6月に加盟国から意見聴取(2)7月に「包括的改正案」を作成(3)10月に執行委員会で改正案の大筋合意-を目標とする日程を示した。制度改正は「透明性の確保、対話の精神に基づく加盟国の参加のあり方」などの新たな課題に対応するのが狙いだと明記した。

 世界の記憶では昨年10月の執行委員会で、係争案件の審査で関係者の対話を促す新制度を19年から導入することが決まった。改正案はこれをたたき台に、各国の意見を反映させる見込み。方向性が定まるまで、ユネスコは世界の記憶の登録申請は受け付けない方針。

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