トランプ政権

月を足がかりに火星へ有人探査 大統領令に署名、中国意識「リーダーであり続ける」

 【ワシントン=塩原永久】トランプ米大統領は11日、月や火星への有人探査計画を進める政策指示書に署名した。指示書は、航空宇宙局(NASA)による具体的な計画推進を承認するものとなり、月での開発を足がかりにして、火星への有人飛行を目指す方針を示している。

 中国も宇宙開発を加速させる方針を示し、2020年をめどに火星探査機を打ち上げ、着陸と探査を目指している。トランプ氏はホワイトハウスでの11日の署名式で、「(宇宙開発で)われわれはリーダーであり続ける」と強調した上で、取り組みを「さらに何倍にも強化する」と述べた。

 トランプ氏は昨年の大統領選期間中から、宇宙開発分野で有人探査を重視する考えを表明していた。大統領就任後は、復活させた国家宇宙会議に計画の具体化などを指示。今回の指示書は、同会議の提言内容を踏まえ、計画推進を認める内容になるが、具体的な実施時期には触れなかった。

 11日は1972年に探査機「アポロ17号」が月面に達した日から、ちょうど45年後にあたる。ロイター通信によると、署名式に同席した元宇宙飛行士のハリソン・シュミット氏は、当時、月から持ち帰った約38億年前の岩石を披露した。

 トランプ氏は「今回は月面で旗を立てるだけではなく、火星探査への基盤を築く」と述べ、月面での施設開発なども念頭に計画を進める意向も示唆した。宇宙開発の軍事利用の可能性にも触れたが、具体的な言及はなかった。

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