ハンバーグを「生」「レア」で提供!? 加熱不十分で食中毒も

中が生焼けの状態でテーブルに運ばれるハンバーグ。この店では、卓上のミニコンロで客が焼く
中が生焼けの状態でテーブルに運ばれるハンバーグ。この店では、卓上のミニコンロで客が焼く

 子供が大好きな料理、ハンバーグ。ここ数年、生やレアで提供され、テーブル上で焼くスタイルの飲食店が登場し、人気となっている。専門家は「ハンバーグに使われる牛挽肉(ひきにく)は、重篤な食中毒を引き起こす菌で汚染されている可能性がある。ハンバーグは中までしっかり加熱して食べて」と呼びかける。(平沢裕子)

 ◆卓上で調理

 飲食店で提供されるハンバーグは通常、中までしっかり加熱されている。これに対し、生やレアで運ばれてくる店では、店員が仕上げとしてテーブル上で焼き上げたり、客が自らミニコンロで焼いたりしたものを食べるところが多い。

 8月下旬の平日の昼時、関東地方の「生ハンバーグ」の店に行ってみた。出てきたハンバーグは、表面に焦げ目が付いているものの、箸で半分に切ると中は真っ赤で、生の挽肉のままだ。

 店内を見渡すと、子供連れの母親グループが座るテーブルで、3歳ぐらいの子供が卓上のミニコンロでハンバーグの肉を焼いていた。店員に「どうですか?」と聞かれ、母親は「こういう食べ方は子供は初めてで、楽しいみたい。おいしいです」と答えていた。

 ◆O157汚染の危険

 食の安全・安心財団の唐木英明理事長は「生の牛肉は、O157など腸管出血性大腸菌に汚染されている可能性がある。O157は少量でも重篤な食中毒を引き起こすだけに、肉はしっかり加熱するのはもちろん、生肉に触れた箸や食材からの二次汚染にも注意が必要」と指摘する。

 同店のテーブルには食べ方の注意を記した紙が置かれ、店員が配膳(はいぜん)時に「肉はよく焼いてください」と声をかけていた。しかし、生肉に触れた箸でご飯を食べたり、生焼けのハンバーグからの肉汁で赤く染まったフライドポテトをそのまま食べたりする人もいた。二次汚染による食中毒がいつ起きてもおかしくない状況だ。

 そもそも飲食店で牛の生肉を提供する場合、食品衛生法の規格基準で肉の表面を加熱処理することなどが義務付けられている。生やレアでのハンバーグの提供は、問題ないのだろうか。

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