ソウルからヨボセヨ

ごみ回収拒否の「大乱」で日本式に納得

 「ビニールごみを業者が回収しなくなった」。マンションの張り紙を見た妻が最近、慌てた様子でこう告げた。リサイクル資源として廃プラスチックなどを輸入してきた中国が環境保護を理由に昨年末から輸入を中止したことが発端だ。

 韓国内で廃プラスチックがだぶつき、価格が急落。採算に合わず、リサイクル業者が今月からの回収拒否を通告したのだ。韓国紙は「ごみ大乱」と1面で大きく報じ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領も10日、「国民に不便をかけ、申し訳ない」と述べた。

 行政側が業者を説得し、沈静化に向かっているが、業者は国内のごみを拒否する一方、日本などからの廃プラスチック輸入量は今年に入って倍増していた事実が判明した。日本のペットボトルはラベルも簡単に剥がれ、圧縮も容易で「良質」だからだという。

 韓国では、資源ごみをビニールやプラスチック、発泡スチロールなどと細かく分別するが、分類し切れないごみが混在してしまう。日本経験のある韓国紙記者は、ペットボトルやアルミ缶、古紙など一部を除いて可燃、不燃に大別する日本の分別法を「後進的」と感じていたが、韓国のごみ大乱を経て「合理的で効率的」と思えるようになったそうだ。ただ、リサイクルの流れが一国では完結しない現在、韓国の騒動もひとごととばかりもいえない。(桜井紀雄)

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