被害者救済法が成立 旧統一教会問題めぐり立民、維新も賛成

国会議事堂=東京都千代田区(本社ヘリから、川口良介撮影)

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐる被害者救済法は、10日の参院本会議で与党や立憲民主党、日本維新の会、国民民主党の賛成多数で可決、成立した。第210臨時国会は会期末の土曜日に法案審議を行う異例の展開を経て事実上閉幕した。

これに先立ち、岸田文雄首相は参院消費者問題特別委員会に出席し、「法律の実効性を高めるためにさまざまな努力をしていかなければならない」と述べ、法律の解釈の明確化に取り組む考えを強調した。

首相は閣僚経験者を含む自民党議員と旧統一教会との関係について、「国民の政治への信頼を傷つけたことを率直におわびしたい」と改めて陳謝した。ただ、旧統一教会の政策への影響に関しては「自民は専門家や有識者と議論を積み重ねて政策を決定している。1団体によって政策がゆがめられることはない」と否定した。

同法は宗教法人に限らず、個人から法人や団体への寄付一般が対象となる。「霊感」で不安をあおる不当な寄付勧誘行為などに加え、借金や住居、生活に不可欠な資産を処分して資金を調達するよう求めることも禁止した。

国は不当な勧誘行為を行った法人に対し、報告を要求する。国が必要な措置を命令し、違反すれば1年以下の拘禁刑や100万円以下の罰金を科す。野党の主張も踏まえ、法人などが寄付勧誘にあたって配慮しなければならないとする規定に関し、国会提出時の法案から「十分に配慮」と表現を強めたほか、施行後3年をめどとしていた見直し規定も2年に修正した。

同法は当初、議員立法も念頭に与野党間で協議したが難航し、首相が11月8日に政府案として今国会に提出する方針を表明した。

参院本会議では霊感商法の被害救済に向けた消費者契約法改正案なども可決、成立した。

©2020-2024 The Sankei Shimbun. All rights reserved.