性ホルモンを学ぶ

④職場で話せる?女性の体調 理解したい男性に「セクハラ懸念」の壁

職場で、女性特有の健康課題を解決すべきだと考えたり、知識を学びたいと考えたりする男性は約8割に上る一方、3割超の男性が女性の生理を話題にすると「セクハラ」になるのではと懸念していることが、民間企業の調査で分かった。調査では、課題を感じながらも女性の生理について説明できる男性が少数であることも判明した。女性活躍の実現に向け、職場における女性の健康をテーマにした研修の必要性が浮き彫りとなった。

男性1千人に調査

近年、女性の社会進出や晩婚化などを背景に、生理や月経前症候群(PMS)、不妊、更年期症状など女性特有の健康問題が社会課題として位置づけられるようになっている。

調査は、生理日管理などをはじめとする女性の健康情報サービス「ルナルナ」の運営会社「エムティーアイ」が10月に実施した。女性の健康課題への男性の理解の実態を把握するため、15~49歳の男性計1千人にインターネットを通じてアンケートをし、調査結果を「FEMCATION(フェムケーション)白書」にまとめた。

女性特有の健康課題について、社会にとって積極的に解決すべき課題だと思うかをたずねたところ、「非常に思う」「やや思う」と回答した男性は合わせて77・1%を占めた。

女性特有の身体の仕組みについて男女関係なく学ぶことも「とても必要だと思う」「やや必要だと思う」が合わせて83%となり、男性の高い学習意欲が示された。

「生理」職場で会話は19%

だが、男性の本音が垣間見える調査結果もあった。

生理に関する日常会話の実態を調べたところ、家庭で家族と話題にしたことのある男性は36・7%。職場で誰かと話したことのある男性は19・7%となり、特に職場では話題にしにくい現状がうかがえた。

生理に関する会話で困ったことをたずねると、職場では「セクハラにならないか不安」が36・3%あり、男性が対応に苦慮していることも明らかになった。

男性7割「PMS知らない」

生理について説明できるかをたずねたところ、「自信を持って説明できる」と回答したのは8・7%。「なんとなく説明できる」を含めても47・1%にとどまった。

多くの女性が心身の不調に悩んでいるPMSについては「あまり理解していない」「まったくわからない」を合わせて7割以上となった。

交際経験の有無や未既婚別では、妻や恋人などパートナーの女性が身近にいる男性ほど、説明できる割合は高まり、男性間でも知識にばらつきがあることがうかがえた。

「説明できる」「なんとなく説明できる」と回答した男性でも、「あまり学ぶ機会はなかった」「まったく学ぶ機会がなかった」を合わせると半数以上を占め、男性が女性の身体について学ぶ機会が限られてきた実態も浮かび上がった。

企業研修で深まる理解

調査を実施したエムティーアイ社執行役員の日根麻綾さんは「女性の健康に関連した福利厚生が充実している職場で働く男性ほど、女性の健康課題について、学ぶ意欲や解決意欲が高いという調査結果もあった。企業が生理について適切な情報提供をすることは、男性の理解を深める有効な手段だといえるのではないか」と話している。

人生の節目節目に、身体的、精神的な影響をもたらす「性ホルモン」の作用に注目が集まっています。性に関する科学的な知識をもつことは、豊かな人生につながります。家庭で、職場で、学校で-。生物学的に異なる身体的特徴をもつ男女が、互いの身体の仕組みを知り、不調や生きづらさに寄り添うことを目指した特集記事を随時配信していきます。

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