中国企業に広がる「共産党支配」 3200社へ明文化を要求

 【上海=河崎真澄】中国共産党が、上場企業を含む大企業約3200社で経営への介入を急速に強めている。上海のニュースサイト澎湃新聞が18日までに伝えたところによると、共産党は3178社に対し「党組織を社内に設置し、経営判断は組織の見解を優先する」との項目を、年内に株主総会などの手続きを経て定款(会社の規則)に盛り込むよう要求した。102社が採用済みという。

 中国の大企業は国有が中心だが、大半は外国企業との合弁事業を手がけているほか、上海や深セン、香港の証券取引所に上場したり、社債を発行したりして海外の投資家との関係を深めている。「党の支配が明文化されると、習近平指導部の意向が色濃く反映されるようになる。国有企業が関係する取引には消極的にならざるを得ない」(市場関係者)と困惑も広がる。

 国有企業だけでなく、地方政府が出資する企業、今秋に5年に1度の党大会を経て2期目に入る習指導部との関係強化を望む民間企業の間にも、追随の動きがある。中国経済を支える企業構造は一段と異質なものになりそうだ。

 背景には、党大会を控え、経済成長を持続するため、鉄鋼や石油、自動車などの業界再編を加速し、生産過剰問題を可能な限り解消しなければならないという事情がある。

 企業改革を断行するため、江沢民元国家主席の時代から続く既得権益層の抵抗を断ち切り、党の影響力を強める。

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