国内勢のVHSデッキ生産終了 最後の船井電機、時代に幕

 船井電機が、国内勢で唯一続けていたVHSのビデオデッキの生産を7月末で終了することが26日、分かった。販売台数が最盛期の20分の1まで減り市場が縮小している上に、部品の調達も難しくなっているため。記録媒体はDVDやブルーレイディスク(BD)などの光ディスクが主流となっており、VHSの時代は幕を閉じる。

 終了するのは、船井電機が中国の工場に生産を委託し、北米で販売してきたモデル。日本向けの最後の製品は、子会社のDXアンテナ(神戸市)が手掛けたDVDレコーダーと一体型の「DXR170V」。既に生産を終了したが当面は修理などに応じる。

 船井電機のVHSデッキはピークの平成12(2000)年ごろに年約1500万台を売り上げていたが、27年は約75万台にとどまっていた。

 VHS製品は昭和51(1976)年に旧日本ビクター(現JVCケンウッド)が発売し、電機メーカー各社が参入した。1980〜90年代に市場が大きく成長したが、2000年以降、DVDやBDの普及に伴い、撤退が相次いだ。

 国内勢では、VHSテープに残る映像をDVDにダビングする需要を見込み、パナソニックもDVDと一体型レコーダーの販売を続けていたが、平成23年末に国内向け生産を終えた。

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