●いばキラ キラキラキラ…。
和楽器とピアノの音色にのせて、透明感のある伸びやかな歌声で聴衆を包み込む。今年、県が運営するインターネットテレビ「いばキラTV」のテーマソング「はじまりのひかり」を作詞・作曲した。「茨城への愛を込めた」楽曲に合わせて、県内各地の老若男女900人が踊る動画が注目を集めている。
水戸生まれ、水戸育ちの「生粋の茨城人」。3歳からピアノ、5歳から詩吟と詩舞、剣舞を習い、物心ついたときから「和」と「洋」の伝統に自然に親しんできたことが、現在の「強み」にもなっている。
音大卒業後は、ピアノ演奏やシンガー・ソングライターとして活動する一方、師範代の資格も持つ詩吟では、全国大会で優勝するなど輝かしい実績を上げてきた。インターネット上の動画共有サイトに投稿した詩吟の動画が反響を呼び、平成24年、同世代の和楽器奏者とともにピアノと箏、尺八による音楽ユニット「華風月」を結成した。
「はじまりのひかり」は、パーソナリティーを務めていたいばキラTVの開局2周年を記念して書き下ろした。メロディーを口ずさみながら思い浮かべたのは、高校時代に夢を描きながら歩いた桜川沿いの道や、日の光を反射して輝く千波湖、そして、建築士だった父親が生前に携わった街角の建物。故郷と家族に思いをはせると、「自然と歌詞が降りてきた」。
所属ユニットやバンドは、順調に活動の場を広げている。テレビ出演の機会も増え、知名度も上がってきた。一方で、大好きなふるさとの人気は上がらないままだ。
それでも、「茨城が好きだから、『魅力度最下位』で注目されるのもおいしいと思う。茨城は、自然体で良いと思うんです」。故郷への愛は、これからも変わらない。(緒方優子)=おわり
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◆お気に入りの場所は水戸芸術館のタワー
●輝く塔から見える 幸せの欠片(かけら)反射して みんなの元へ降り注ぐ
「はじまりのひかり」にも登場するお気に入りの場所の一つが、水戸芸術館のタワー。三角形のパネルがくねくねとねじれ、高さ約100メートルに積み上げられたタワーは生まれ育った街の象徴的な存在だ。
「自分もいつか、この街から旅立つときが来るのかな」。キラキラと陽光を反射するタワーを眺めると、そんな思いを抱きながら通学した学生時代に返る。いつも変わらずに迎えてくれるこの光景が、元気の「サプリ」だ。
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【プロフィル】鈴華ゆう子
すずはな・ゆうこ 水戸市出身。東京音大器楽専攻(ピアノ)卒。平成23年コロムビアレコード全国吟詠コンクール青年の部優勝。現在、和楽器と洋楽器を融合させたロックバンド「和楽器バンド」のボーカルと和風アコースティックユニット「華風月」のピアノ、ボーカル担当として活躍中。
●=歌記号