オウム死刑執行

麻原彰晃元死刑囚の遺体を火葬 四女「身の危険感じる」 遺骨は当面、東京拘置所に

麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚=平成2年
麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚=平成2年

 6日に死刑が執行されたオウム真理教の元教祖、麻原彰晃元死刑囚=執行時(63)、本名・松本智津夫=の遺体が9日朝、東京都府中市内の葬祭場に移送され、火葬された。関係者によると、麻原元死刑囚は執行直前、拘置所職員に自身の遺体の引き取り先として四女を指定していたが、四女は遺骨を持つことに身の危険を感じており、引き取りを望まなかった。一方、妻や三女らは遺体の引き渡しを求める要求書を上川陽子法相らに提出。遺骨の引き取り先は決まっておらず、法務省は当面、東京拘置所で預かるもようだ。

 関係者によると、麻原元死刑囚には元教団幹部の妻(59)との間に2男4女がおり、妻側、四女側双方を含む遺族全員が麻原元死刑囚の火葬に同意したため、東京拘置所の主体で火葬を行ったという。

 規定では、遺体の引き渡し先は死刑囚本人が事前に指定した人が優先されるため、法務省は当初、遺骨を四女側に引き渡す方向で調整を進めていたが、四女側は引き渡されたら「身の危険を感じる」との意向を示したため、東京拘置所に保管したうえで、今後の対応を検討することにした。

 四女は昨年11月、麻原元死刑囚ら両親と縁を切るため、自分の推定相続人から両親を除外するよう申し立て、横浜家裁の審判で認められたとして会見し、「私は教団と離れて暮らし、家族や元信者と連絡を取っていない」と話していた。

 妻と、6人の子供のうち長女と四女を除いた計5人の連名で提出された要求書は、「(麻原元死刑囚の)精神状態からすれば、特定の人(四女)を引き取り人として指定することはあり得ない」と主張していた。

 公安関係者によると、麻原元死刑囚の遺体は象徴的な意味を持ち、遺骨や遺品が後継団体の正当性を示す象徴になる可能性があるとみられている。神格化も懸念されており、公安当局は、遺骨の引き取り先を注視している。

会員限定記事会員サービス詳細