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玄海再稼働差し止め却下 佐賀地裁決定 阿蘇噴火の危険性認めず

 九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の運転差し止めを周辺住民ら73人が求めた仮処分申し立てについて、佐賀地裁(立川毅裁判長)は20日、「新規制基準の合理性に疑いはなく、玄海原発が新基準に適合するとした原子力規制委員会の判断に看過しがたい欠落はない」として住民側の申し立てを却下した。九電は23日にも3号機の再稼働に踏み切る見通し。住民側は決定を不服とし福岡高裁に即時抗告する方針。

 原発の運転差し止めを巡っては、2011年の東京電力福島第1原発事故以降、全国で裁判が相次いだ。昨年12月には広島高裁が四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)について、約130キロ離れた阿蘇カルデラ(熊本県)の危険性を理由に、高裁レベルで初めて運転差し止めを決定。玄海原発も阿蘇カルデラからほぼ同じ距離にあるため、同地裁の判断が注目された。

 地裁決定では、九州全域に火砕流が及ぶような阿蘇カルデラの破局的噴火について「少なくとも地下10キロより浅くに破局的噴火を起こすような大規模なマグマだまりはないと確認されている」として危険性を否定。広島高裁決定と同様に新規制基準の安全対策指針「火山影響評価ガイド」を厳格に運用すれば、危険が認められるとの住民側の主張を退けた。

 争点となった避難計画についても「(国の)原子力防災会議で合理的と了承され、九電が今後も実効性の向上に努めるとしており、不適切とは言えない」と判断。「避難計画の作成範囲を30キロ圏内に限るのは実効性はない」という住民側の主張は認めなかった。

 福島事故後に原子力規制委員会が策定した新規制基準については「福島事故を受けて調査分析され、現在の科学技術水準を踏まえて策定された」として合理性を認めた。

 立川裁判長は昨年6月、玄海3、4号機の再稼働を巡り、別の住民団体による運転差し止めの仮処分申し立ても却下していた。

=2018/03/20付 西日本新聞夕刊

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