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コストコ誘致に猛反発 安価な給油所併設、地元石油組合「打撃」 御船町

 御船町が進める米会員制大型ディスカウントストア「コストコ」の誘致計画に、県内の石油販売業界から反対の声が強まっている。コストコ側が、廉価でガソリンを提供する給油所の併設を計画しているためだ。出店の経済効果を熱望する町は誘致の方針を変えない考えだが、全国で多くの自治体が候補地に手を上げており、「開業時期がずれ込めば、他に奪われかねない」との懸念も出ている。

 「不当に安く売られたら、周りの小さなガソリンスタンドはつぶれてしまう」。県石油商業組合の三角清一理事長は不満を隠さない。コストコは国内26店舗のうち、12店舗が給油所を併設している。昨年6月時点の同組合の調べでは、コストコのガソリンは、各府県の平均価格より1リットル当たり10~20円程度安いという。三角理事長は「地域の店がなくなったら、災害時に緊急車両への給油もできなくなる」と語気を強める。

 コストコが出店した地域では実際に影響が出ている。宮城県石油商業協同組合によると、2016年4月に給油所併設型店舗が進出した同県富谷市では、最も近いガソリンスタンドで販売量が3割以上減り、近隣の数軒が閉店したという。17年秋にオープンした浜松市でも、近隣スタンド数店舗が姿を消した。静岡県石油商業組合の鈴木裕司理事長は「売上量の減少は今も続き、このままでは過疎地で“スタンド難民”が出かねない」と懸念する。

 コストコは、高速道路のインターチェンジ(IC)付近の広大な土地に店を構え、広域で集客する戦略を展開している。コストコホールセール・ジャパン(川崎市)は、「現状で伝えられる新規オープン情報はない」として御船町への進出計画を公表していないが、関係者によると、九州自動車道御船IC付近の農地約11ヘクタールを開発する計画で、21年5月開業を目指す。町も既に地権者から土地買収の同意を得ているという。

 町にオープンした場合、九州3店舗目で南九州では初となる。県も出店計画を歓迎しており、県幹部は「県外からの利用客が熊本を周遊するきっかけになる」と期待。予定地の近くに住む60代女性も「孫たちが遊びに来るときに利用したい。今から楽しみに待っている」と熱い視線を送る。

 15年秋に開店した岐阜県羽島市では、コストコの集客力に便乗する形で、周辺に飲食店や工場など約20軒が進出したという。市の担当者は「雇用創出と税収増につながった」とメリットを強調する一方で、「多くの県外ナンバーが店に駐車しているが、交流人口の増加につながっているかは分からない」としている。

 御船町は19年度以降、進出予定地である農地の転用を県に申請する見通し。町内には大型商業施設が一つもなく、町幹部は「勢いのある町にしか人は集まらない。誘致が成功すれば二重三重にも相乗効果があり、地域の経済力が上がる」ととして誘致計画を貫く構えだ。石油販売業界の反発は収まりそうにない。

=2019/01/23付 西日本新聞朝刊=

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