国富5年ぶり減少 20年末、コロナで設備投資停滞
内閣府が24日発表した国民経済計算年次推計によると、官民合わせた国全体の正味資産(国富)は2020年末に3668.5兆円と19年末比で10.7兆円(0.3%)減った。5年ぶりの減少となった。新型コロナウイルス禍で企業の設備投資が滞り、固定資産が減少した。
国富は土地や住宅、工場などの資産から負債を差し引いた総額だ。家計や企業、政府などの各部門を合算している。内閣府が日本経済の全体を表す統計である国民経済計算から推計する。
内訳をみると、固定資産は10.3兆円(0.5%)減り、1986.7兆円となった。減少は8年ぶり。住宅が5.2兆円(1.2%)、機械・設備が3.4兆円(1.5%)減った。コロナ禍で企業の投資意欲が鈍り、輸送用機械、情報通信機器、「その他」の生産用の機械などがそれぞれ減少した。
固定資産以外では土地が1.1兆円(0.1%)増えて1246兆円だった。7年連続で前年を上回った。
国富を部門別にみると、国、地方を合わせた一般政府が25.9兆円(26.5%)の大幅減で71.7兆円となった。コロナ対策で多額の国債を発行した影響が出た。
家計は31.8兆円(1.2%)増え2712.6兆円となり、過去最高を更新した。資産の内訳は現金・預金が49.2兆円(4.9%)増と伸びが顕著だ。緊急事態宣言などの行動制限によって消費が鈍ったことで額が積み上がった。政府による一律10万円の給付も押し上げ要因になった。
金融機関も194.9兆円と過去最高になった。コロナ対応で貸出債権が膨らんだことなどで8.1兆円(4.3%)増えた。金融以外の法人企業は28.4兆円(4.7%)減り、577.3兆円だった。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?