池江璃花子、世界切符 病から復帰後の自己ベスト
女子100メートルバタフライの予選後に「今日は優勝は狙っていない」とどこか弱気だった池江は、望外の結果に思わずガッツポーズ。代表内定に加え、闘病から復帰後の自己ベストという結果に「世界にチャレンジするための大きな一歩になった」と喜んだ。
後半の失速が目立つなど今季序盤は成績不振に苦しみ、1月の国内大会では表彰台も逃した。だが、大会前の合宿で持久系のトレーニングを積むうちに復調の兆しが見え始め、「これまで自分を信じてあげられていなかった」とも気づいたという。決勝では前半を4番手で折り返すと、「タッチの時に一瞬隣を見ただけで周りをあまり意識せずに」泳ぐことを徹底。持ち味である伸びやかさを取り戻し、一気に差した。
かつて世界のトップに肉薄する記録を出した思い入れの強い種目。「さすがに遅いし、世界では16位以内にも入らない」と現状の立場は理解している。
それでも社会人最初のレースで幸先の良いスタートを切り、「まだまだいけるという感触がわいてきた。自分に向けてではない、誰かの応援も自分の応援ととらえて最終日まで頑張りたい」。今大会は5種目にエントリー。一度波に乗れば勢いが止まらないのは、池江自身が一番よく知っている。
(堀部遥)
16歳成田、大橋破りV
自己ベスト更新と世界選手権の代表内定の2つを狙っていた16歳の成田実生は「ちょっと最初は焦ってしまった」。女子200メートル個人メドレー決勝は思いがけず前を追う展開になったが、泳ぎながら徐々に落ち着きを取り戻していった。
平泳ぎで一気に差を詰め、最後の自由形の中盤でトップだった大橋悠依と並んだ。疲労で「今まであまり無かった動かない感じ」になりながらも「一生懸命に手を回した」。僅か0秒09差で大橋を差し切った。
自由形は周りとの位置関係がしっかり見えており「気持ちの勝負だなと思った。強い気持ちで泳ぎ切れた」。自己ベストには届かなかったものの、東京五輪金メダリストとの競り合いを制した内容にうなずいた。
成田と同年代のサマー・マッキントッシュ(カナダ、16歳)は400メートル個人メドレーで世界新記録を塗り替えたばかり。いまは一歩も二歩も先を行く存在だが「まずは一緒の舞台に立つことができるので、この機会を大切にしたい」。7月の対戦を心待ちにしていた。
(木村慧)