武蔵川理事長辞任、後任は放駒親方 相撲協会
日本相撲協会は12日、武蔵川理事長(62)=元横綱三重ノ海=が同日辞任したと発表した。健康面の不安が理由だが、野球賭博問題など一連の不祥事の責任をとった面もあるとみられる。午後の臨時理事会で後任に巡業部長を務める放駒理事(62)=元大関魁傑=が選出された。新理事長は外部からの起用を求める声もあったが、力士出身で落ち着いた。
武蔵川理事長は同日午前の臨時理事会で、体調不良を理由に辞意を表明した。後任選びは午後の臨時理事会で理事による選挙となり、放駒理事が最も多くの支持を集めたという。放駒新理事長は東京・両国国技館で記者会見し「大変な難局であり、相撲協会の道筋をつけていきたい」と決意を述べた。
武蔵川前理事長は2008年9月に第10代理事長に就任、今年2月の役員改選で理事長に再選された。就任後、暴行事件で横綱朝青龍関が引退。それに続く暴力団問題や野球賭博騒動など、不祥事の連鎖を止めることができなかった。
また特別調査委員会(座長・伊藤滋早大特命教授)は12日、松ケ根部屋の十両松谷関ら力士2人が野球賭博をしていたことが新たに判明したと発表した。2人は事前の協会の調査では申告していなかった。処分などはあらためて検討する。
調査委は違法賭博などに関与していると一部週刊誌で報じられた佐ノ山親方(元大関千代大海)について引き続き調査することを決めた。地方場所宿舎に暴力団関係者がかかわっているとされた境川部屋については、問題なしと結論づけ、松ケ根部屋は継続調査となった。9月6日の会合で結論を出す予定。
協会改革を検討する「ガバナンス(組織統治)の整備に関する独立委員会」(座長・奥島孝康日本高野連会長)の会合も12日に開かれ、暴力団対策や維持員対策の最終案をまとめた。協会はこの日の臨時理事会で「暴力団排除宣言」を出す予定だったが、延期された。