高卒採用「1人1社」制見直し、文科・厚労が報告書
文部科学省と厚生労働省は10日、高卒採用を巡って「1人1社」の応募を原則とする慣行の見直しに関する報告書をまとめた。慣行は多くの関係者に支持されているとしたうえで、生徒の選択肢を広げるために「毎年度必要な見直しを行っていくことなどが求められる」とした。複数社への応募を認めることなどが想定されるとした。
両省と経済団体や学校関係者らでつくる検討会議が10日、報告書をとりまとめた。最初の応募段階から複数社に申し込めるように見直したり、高校やハローワーク経由以外での民間業者を通じた情報収集や就職活動について周知したりするなど、生徒の選択肢を増やすための検討を促した。2019年度内にも都道府県や関係団体に報告書を送る。21年春にも慣行を見直す都道府県が出てくる可能性がある。
高卒採用では企業がハローワークを通じて高校に求人を申し込み、高校教師と生徒が相談して最初の応募先を1社に絞る「1人1社」制が慣行となっている。法律で定めたルールではないが、都道府県ごとに毎年、関係者が協議して決める申し合わせになっている。
だが人気の企業では最初から校内選考となり希望が通らない生徒が出るほか、ミスマッチによる早期離職などの課題が指摘されていた。政府も19年の規制改革推進会議で見直しを求めていた。