ロシア軍、中国と初の巡回飛行 竹島上空侵犯は否定
【モスクワ=石川陽平】ロシア航空宇宙軍のセルゲイ・コビラシ司令官は23日夕、ロシアと中国の空軍機が同日初めてアジア太平洋地域で行った共同巡回飛行が約11時間、約9000キロメートルに及んだことを明らかにした。ロシア政府は中国と新たな軍事協力協定を結ぶ計画も公表した。アジア太平洋地域で中ロが協力して軍事プレゼンスを広げる動きは、駐留米軍や日韓の強い警戒を招くことになりそうだ。
ロシアと中国の複数の軍用機が23日、島根県の竹島(韓国名・独島)周辺の上空に相次ぎ侵入し、ロシア軍機が韓国軍から警告射撃を受けた。コビラシ司令官は、同日のロシア国防省の発表に続いて中ロがアジア太平洋地域で初の共同巡回飛行を実施していたことを説明するとともに、「外国の戦闘機が11回、並行して飛行した」と批判した。竹島からは25キロ以上離れて飛行しており、「韓国、日本の領空を侵犯することはありえない」と述べた。
中ロの共同巡回飛行に先立ち、ロシア政府は22日、中国と軍事協力協定を結ぶ交渉をすると明らかにしていた。詳細は不明だが、ロシアの有力紙ベドモスチは23日付で、1993年に結んだ軍事協力協定に代わるもので、より複雑な共同の軍事演習や巡回飛行の実施を含む可能性があると伝えた。
ロシアは中国と軍事同盟の関係にはないが、戦闘機や地対空ミサイルシステムなど多様な武器を売却してきた。共同の軍事演習も増えており、18年9月にはロシア軍が極東で実施した大規模な軍事演習に中国の人民解放軍が参加した。今後は駐留米軍や日韓をけん制する目的で、日本海や東シナ海などで今回のような共同の巡回飛行を増やしていくとみられる。