「令和」幕開け 新天皇陛下が即位
天皇陛下が4月30日に退位されたことに伴い、皇太子さまが1日、新天皇に即位された。今回の代替わりは2017年6月に成立した皇室典範の特例法に基づく。天皇の退位は1817年の光格天皇以来202年ぶり、憲政史上では初めてとなる。元号は平成から令和に変わり、新時代が幕を開けた。
新天皇陛下は59歳、名前は徳仁(なるひと)、称号は浩宮。新皇后雅子さまは55歳。代替わりで、秋篠宮さまが皇位継承順位1位となる皇嗣の地位に就かれた。退位した前の陛下は上皇、前の皇后さまは上皇后となり、公務から退かれた。継承順位は2位が秋篠宮さまの長男、悠仁さま、3位は上皇さまの弟の常陸宮さまに変わった。
1日午前には新天皇陛下の即位関連の儀式「剣璽等承継の儀」と「即位後朝見の儀」が天皇の国事行為として執り行われる。剣璽等承継の儀では歴代天皇に伝わる神器のうち、剣と璽(じ=まがたま)と国事行為で用いる天皇の印章である御璽、国の印章の国璽を受け継ぐ。
即位後朝見の儀では新天皇陛下が安倍晋三首相ら国民の代表を前に即位後初めて、国民に向けたお言葉を述べられる。
新天皇陛下は新侍従長と上皇侍従長の認証官任命式など、即位初日から公務に臨まれる。19年10月には国内外から多くの賓客を招いて即位を祝う儀式が予定されている。
平成最後の日となった4月30日午後5時からは、皇居・宮殿「松の間」で「退位礼正殿の儀」が執り行われた。
上皇さまは天皇として在位中最後のお言葉で「これまでの天皇としての務めを、国民への深い信頼と敬愛をもって行い得たことは、幸せなことでした。象徴としての私を受け入れ、支えてくれた国民に心から感謝します」と謝意を示された。
そのうえで「明日から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願う」と続けられた。
上皇さまは両手に持った紙に時折目をやりながらゆっくりとした口調で話され、やや声がうわずる場面もあった。
儀式は約13分で終了した。上皇さまの表情は終始穏やかで、一言一言発するたびに参列者の方に目を向けられた。松の間から退出する際には、台から下りる上皇后さまを気遣い、優しく手を引かれた。上皇后さまは、侍従らを伴って松の間を後にする上皇さまに深々と頭を下げて見送られた。
憲政史上初となったこの儀式には、三権の長や地方自治体の代表ら約300人が出席した。上皇さまのお言葉に先立ち、安倍首相が国民を代表し「いかなる時も国民と苦楽を共にされた天皇陛下のみ心に思いを致し、深い敬愛と感謝の念をいま一度新たにする次第です」とあいさつした。
上皇ご夫妻の天皇、皇后としての公務は、退位礼正殿の儀で終わった。その後、新天皇、皇后両陛下や各皇族方、宮内庁や皇宮警察の職員らと面会してあいさつを受ける行事をこなされた。上皇ご夫妻の日程がすべて終わったのは午後7時すぎだった。