関空連絡橋、ほぼ2週間ぶりに鉄道運行再開
JR西日本と南海電気鉄道は18日、関西国際空港と対岸を結ぶ連絡橋での鉄道運行をほぼ2週間ぶりに始発から再開した。台風21号の強風でタンカーが連絡橋に衝突し、4日から運行を休止していた。鉄道運行の回復により、交通アクセスは大幅に改善。関空の全面復旧に向けて弾みがつきそうだ。
大阪府貝塚市に住む宮下光秀さん(74)は、めいの結婚式に出席するために鹿児島行きの航空便に搭乗しようと南海電鉄の始発電車に乗った。「新幹線で鹿児島に向かうことも一時は考えた」というが「空港も電車も通常通りに戻り、安心した」と出発ロビーに向かった。
関空に勤務する大阪府泉佐野市の男性(65)も「電車の運休中はバスで通勤しなくてはならず、30分早く家を出なければならなかった」と振り返る。「電車の運行の再開で、復旧が一歩前へ進んだという手応えを感じる」と力を込めた。
早朝の車両には訪日観光客の姿もあった。タイ人のスラット・スクソワットさん(27)は「来日した時は、台風で航空機が振り替えになった成田から深夜バスに乗って大阪まで来た。今日は予定通り鉄道で関空から出発できてありがたい」と手土産を片手に笑顔をみせた。
東京と大阪に2週間ほど滞在したイタリア人のサマンサ・ロカテッリさん(21)は「鉄道で橋を通る際は少し緊張した。電車も空港も使えるようになり、予定通りに帰国できる」と声を弾ませた。
JR西日本と南海電鉄が乗り入れる関西空港駅の乗降人数は、2017年度で1日あたり平均6万人強にのぼる。空港を運営する関西エアポートによると、空港利用者の半分が鉄道を利用しているという。
JR西日本の立野照司・関西空港駅駅長は「いつ復旧できるかという問い合わせも多く、今日は始発を新鮮な気持ちで迎えることができた。少しずつ利用客が戻ってきてくれたらうれしい」と話した。
もっとも、連絡橋の一部では橋桁が撤去されたままのため、鉄道車両は通常よりも強風をうけやすい。JR西日本では通常は最高速度120キロ前後で運行するが、当面は45キロに減速して運行する方針だ。
南海電鉄でも安全面への配慮から一部で減速運転し、通常よりも1~2分ほど到着まで時間がかかるという。
関西エアポートは21日をめどに関空の第1ターミナルの全面復旧を目指している。交通網も整備されれば、空港全体の機能回復に向けた動きが加速しそうだ。