インド、軍事拠点探しで苦戦、インド洋の島国で
【ニューデリー=黒沼勇史】周辺国への影響力拡大で中国と競うインドがお膝元のインド洋で、軍事拠点の候補地探しに苦戦している。インド洋の島国セーシェルでは、同国の島の1つにインドの軍施設を設けるとの1月の政府間合意を議会が批准しない見込みとなった。インド洋の島々に基地を開き、中国に対抗するインドの計画は暗礁に乗り上げている。
セーシェルの外務省高官は22日、ロイター通信に対し「(議会で過半数を握る)野党が(インド軍施設を設ける政府間)合意を承認しないとしており、政府は議会に議案提出しない」と述べた。
両国は1月、セーシェルのアサンプション島にインド軍用の滑走路や埠頭を造ることで合意したが、野党が「主権放棄につながる」とすぐに反発。議会で議案に反対する方針を示していた。
同じくインド洋のモーリシャスでも、一部の島にインドが軍施設を設けるとの情報が広がり、野党が議会で「国家主権を放棄するな」と追及している。島国モルディブでは2013年にインドが貸与していたヘリコプター2機を、モルディブが返却するとこのほど決定し、海洋安保で協力してきた2国間関係の亀裂が深まっている。
一方の中国は昨年8月、アフリカ東部ジブチに海外初の海軍基地を開設した。インドの隣国スリランカからは昨年12月に南部のハンバントタ港の99年の使用権を取得し、インド洋で着々と足がかりを設けている。