改ざん経緯、証言拒む 佐川氏「官邸の指示ない」
証人喚問
学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書を財務省が改ざんした問題で、衆参両院の予算委員会は27日、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を開いた。佐川氏は改ざんに「首相官邸の指示はなかった」と断言し、安倍晋三首相や昭恵首相夫人の関与も否定した。一方で改ざんの経緯や動機は「刑事訴追の恐れ」を理由に証言を拒み続けた。
佐川氏は証人喚問で「改ざんは理財局の中だけで行われた」と繰り返し強調した。首相の政務秘書官の今井尚哉氏(経済産業省出身)のほか、麻生太郎財務相や財務省幹部の関与も否定した。改ざん問題が国会を混乱させたとして「当時の理財局長として責任はひとえに私にある」と陳謝した。
首相が2017年2月に「私や妻が関係していたということになれば、間違いなく首相も国会議員も辞める」と明言した国会答弁が、改ざんの契機になったのではないかとの指摘は否定した。佐川氏は「首相の答弁がある前、後ろで私の答弁を変えたということはない」と語り「首相は政治的な思いで言っていると感じた」と説明した。
ただ、誰が何のために決裁文書を改ざんしたのか、という疑惑の核心は明らかにならなかった。証人喚問では与野党の議員が「佐川氏は改ざんを把握していたのか」などとただしたが、佐川氏自身が大阪地検の捜査対象になっていることを理由に挙げ「刑事訴追の恐れがあるため、答弁は控えたい」と繰り返した。
首相や麻生氏から改ざんの指示がなかったとする明確な根拠も示せなかった。衆院会派「無所属の会」に所属する江田憲司氏らは、政治家らの関与について「なぜないと断言できるのか」と追及した。佐川氏は「大臣や官邸からの指示があれば必ず私のところに報告、連絡がある。昨年そういうことはなかった」と述べるにとどめた。
国有地が約8億円値引きされた経緯については「首相や首相夫人の影響があったとは考えていない」と話した。国有地が値引きされた根拠となるごみの撤去費用は「大阪航空局がきちんと算定したと思う」と語り、森友学園への国有地貸し付けや売買契約は「適切に行われたと今でも考えている」と述べた。