台風・豪雨の予測精度向上、ひまわり8号データをスパコン「京」で処理 理研・気象研
理化学研究所と気象庁気象研究所などは気象衛星「ひまわり8号」による雲の観測データをスーパーコンピューター「京」に取り込み、台風の急速な発達や豪雨発生を高精度に予測する技術を開発した。気象庁は予報業務に応用することを検討する方針で、大雨や洪水のリスクをいち早く正確にとらえ、防災に役立つと期待される。
成果は米科学誌マンスリー・ウエザー・レビュー(電子版)など2誌に18日掲載される。
ひまわり8号は赤外線による観測で雲の高さや厚さのデータを10分ごとに集めている。理研の三好建正チームリーダーや本田匠特別研究員らはこのデータをスパコンに直接取り込み、気象予測に利用できるようにした。
2015年で最も強く発達した台風13号と、鬼怒川の氾濫をもたらした同年9月の関東・東北豪雨の観測データを使って検証した。台風の中心気圧が下がって強くなる過程や雨雲の位置を実際の観測に近い形で予測できた。豪雨についても大雨の位置や範囲の予測精度が上がり、鬼怒川の流量の急増を従来より早く捉えられた。
気象庁は現在、1時間ごとに気象予測を更新している。理研の三好チームリーダーは「10分ごとの更新による新しい天気予報の可能性を示せた」と話している。