ソフトバンク、10兆円ファンド きょうにも発足
ソフトバンクグループがサウジアラビアと計画していた10兆円規模の投資ファンドを、20日にも発足させる。サウジの政府系ファンドのほかアラブ首長国連邦(UAE)アブダビ政府や米アップル、米クアルコム、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業、シャープなどが参加。ソフトバンクが運営を主導してIT(情報技術)関連のベンチャー企業への投資を加速させる。
トランプ米大統領の初外遊となる中東歴訪に合わせてソフトバンクの孫正義氏がサウジを訪問。早ければ20日内にもファンドを正式に発足させる。
ソフトバンクは昨年10月、サウジ政府系の公共投資ファンド(PIF)と「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を発足させることで合意していた。
PIFが450億ドル、ソフトバンクが250億ドルを出資するほか、アブダビ系ファンドが150億ドルを拠出。民間企業ではシャープが10億ドルを出すと表明している。アップルやクアルコム、鴻海、米オラクル創業者ラリー・エリソン氏の個人事務所も出資者に名を連ねている。
ファンドは英ジャージー代官管轄区に登記し、ソフトバンクで財務を担当するラジーブ・ミスラ氏が運用責任者に就く。ソフトバンクは今後、原則として100億円以上の投資は新ファンド経由とする。
新ファンドの投資先には「すでに30社近く予定している」(孫社長)。インドの決済ベンチャー、ペイTMの運営会社や米衛星通信ワンウェブなどに出資するほか、すでにソフトバンクが出資している中国配車アプリ大手の滴滴出行などへの追加出資もファンドから行う計画だ。
新ファンドの運用規模は「世界中のベンチャーキャピタルの運用額の総額を大きく上回る」(孫社長)規模となる。実質的にファンドを主導するソフトバンクの投資戦略が世界中の投資家からの注目を集めそうだ。