女子スーパー大回転はエステル・レデツカ(22=チェコ)が1分21秒11で優勝した。アルペンではオリンピック(五輪)初出場ながら、スノーボードのトップ選手で、世界選手権は15年にパラレル回転、17年はパラレル大回転を制した。14年ソチ五輪に出場し、今大会も24日のパラレル大回転に出場を予定している。アルペンスキーとスノーボードの両方で五輪に出場するのは史上初で、初挑戦で快挙を遂げた。

 誰も予想できなかった偉業に、本人もあぜんとした。「二刀流」で出場しているレデツカが、実績のあるスノーボードではなくアルペンスキーで初の金メダルに輝いた。女子スーパー大回転で優勝をさらい「こんなことが起きちゃうなんて」。想定外だったメダリストの記者会見に「お化粧していないから」とゴーグルをかけたまま現れた。

 有力選手が早い滑走順に固まるアルペンで、26番スタートでトップに立つことはまずない。ところがスピードを全然抑えない、向こう見ずな滑りが奇跡を起こす。ゴールエリアの巨大スクリーンでは、2番目の途中計時から最速タイムを意味するグリーン表示が続き、観衆のどよめきを誘った。最後の大きなジャンプも着地をこらえ、0秒01の最小差でかわした。

 ここからが拍子抜けだった。ゴールしたレデツカは順位表示を見ながらきょとんとしたまま。「故障したのかと思った。待ってもタイムはそのままだし、みんな叫んでいた。それでやっと現実だと分かった」。スピード系は番狂わせが多いとはいえ、本人も頭になかった結果だった。

 アルペンではW杯で表彰台に立ったことさえなかったシンデレラが、チェコに初のアルペン「金」をもたらした。故郷のプラハはお祭り騒ぎだろう。