今秋スタートの次々期NHK連続テレビ小説「あさが来た」(月~土曜午前8時=9月28日スタート)ヒロインが、女優の波瑠(23)に決まり、12日、同大阪放送局と、同東京放送局で記者会見した。

 波瑠は、過去に「あまちゃん」「純と愛」オーディションで最終選考まで進んだものの落選。ほかにも「てっぱん」オーディションも受けており「1回多いですけど“4度目の正直”で、受かりました」。

 雪辱の機会を得たが、あまちゃん超えには「……」。それでも、すぐ気を取り直し「すごいプレッシャーですけど、それを力に代えていけたら…いきたいです」と、力強く宣言し、芯の強さをのぞかせた。

 波瑠は雑誌「セブンティーン」の専属モデルを経て、10代から女優活動をしており、昨年9月公開の映画「がじまる食堂の恋」に主演。今年1月公開の映画「アゲイン 28年目の甲子園」では、マスターズ甲子園の事務局員を好演し、注目を集めていた。

 今回の「あさが来た」は、朝ドラ史上初めて、幕末からスタート。明治期に事業に奔走し、女子大創設にも尽力した広岡浅子さんをモデルに描く。波瑠は、京都の豪商の娘に生まれながら、正義感が強く相撲好きなおてんば娘時代から、次々に事業を成功させ、60代までを演じる。

 「(モデルは)すごく行動力があって、力強い女性。でも女性ならではの柔らかさ、しなやかさも表現しながらやっていけたら」

 制作統括の佐野元彦チーフプロデューサー(55)は「元気さと、品を兼ね備えているところ」が評価につながったといい、最終的な決め手は「相撲」だったという。というのも、放送スタート後しばらくは、毎回、ヒロインが相撲に興じる場面があり、2次審査でも、受験女優同士で相撲の実技を実施。「顔を真っ赤にドカンとぶつかっていっても、どこかに品があった」ことだった。

 これには、波瑠本人も「幼稚園のころ、先生と遊びで相撲した記憶はありますが、オーディションでは、すごい一生懸命に相撲をとっちゃって、足の爪が欠けました。それぐらい、必死に熱くやってました」と苦笑しつつ振り返った。

 中学時代に陸上部で走り高跳びをしていたが、そもそもスポーツは苦手とといいい、「動きやすい服装。ジーンズとニットで、女優さん同士で相撲をとりました。でも…勝ってはいないです。自信もなかったし、よく(相撲のルールを)分からなかった…」。最後まで投げ飛ばすと危険ゆえ、途中までの演技だった。

 それほど、4度目挑戦のヒロインへの気持ちは熱く、強かった。

 「すごく受かりたいって気持ちと、それ以上に、とにかく一生懸命に楽しもうと思いながら。実際に楽しくできたので、ポジティブな気持ちが(合格に)つながったのかなと思います。私自身(ヒロイン同様に)小さいころは、外で男の子と遊んでる方が多かったので、そこは似てるかも」

 波瑠は東京の下町生まれ。「庶民のお家で、ハイソな生活はしてません」。さらに、京都で生まれ大阪に嫁ぐヒロインは、京ことば、船場ことばを操り、方言の勉強も必要になる。

 今後は5月半ばの撮影スタートまでに、2種類の方言の勉強、時代背景や役柄から琴、そろばん、そして相撲の実技練習など、多くのレッスンが待つ。佐野チーフによれば、相撲の場面も吹き替え予定はない。

 「体力は、けっこうあります。長丁場(の収録)も大丈夫だと、思いこみながら頑張りたい」

 精神とともに体の強さも求められる。「健康管理をしっかりしながらやりたい。普段から、長風呂なので、オーディションでも『長風呂が得意』と言いました。(疲れても)長風呂で乗り切れるようにしたいです」と自信を見せていた。