将棋の藤井聡太2冠(棋聖・王位=18)が10日、大阪市の関西将棋会館で行われた第79期名人戦順位戦B級2組の最終戦で、中村太地七段(32)を下し、10戦全勝で同1組に昇級した。すでにB級1組への昇級は決めていたが、これで順位戦は21連勝、公式戦は16連勝と異次元の強さを見せた。史上初の「4年連続勝率8割」を確定させた。

先手の藤井が相掛かりの戦型を選択した。序盤戦はかなり速いペースで進んだ。藤井が積極的に攻め、中村も正確な受けから反撃に転じた。激しい攻め合いとなった。

激戦を制した藤井は「序盤は少し珍しい形になり、難しい将棋だなと思っていた」と振り返った。全勝での昇級に「最終局は来期につながる戦い。いい形で終えることができた」と話した。

20年度の残り対局は、23日に行われる竜王戦2組ランキング戦の準決勝、松尾歩八段(40)戦がラスト。これで藤井は、20年度の将棋の記録全4部門で、勝率8割4分3厘、勝利数は43勝、連勝は16連勝と3部門で単独トップに立った。残る対局数51対局で3位。勝率と連勝はトップを確定させた。松尾戦に敗れても、勝率は8割をキープできるため、史上初の「4年連続勝率8割」を確定させた。

「いままで以上に手ごわい相手との対戦が多い中、8割という結果を出せたのは自分が思っていた以上の成績だったかなと感じています」。

藤井が昇級するB級1組は実力者が名を連ね、「鬼の住処(すみか)」の異名を持つ。同組には13人が所属し、総当たりで戦い、上位2人がA級に昇級する。 谷川浩司九段が持つ名人獲得の史上最年少記録は21歳2カ月。順位戦は最上位のA級からC級2組までの5クラスに分かれて戦い、A級の優勝者が名人挑戦者となる。レジェンドを超えるには、藤井は今後、B級1組、A級の順位戦を1期で昇級する必要がある。【松浦隆司】