宝塚歌劇団の月組人気スター月城かなとが14日、大阪市北区のシアター・ドラマシティで、故春日野八千代さんが初演した代表作のひとつに臨み、主演作「ダル・レークの恋」の初日を迎えた。

イケメンというより「美男子」。抜群の美貌と、偉大な先輩が何よりも重んじた「品格」も特長の月城が、宝塚107年の伝統を受け継ぐクラシカルな魅力を存分に発揮した。

インド北部のダル湖を舞台にした名作は、騎兵大尉ラッチマンと、領主の孫娘カマラとの身分違いの恋を描く。菊田一夫氏の書き下ろしで、59年に春日野さんが演出し、自ら主演して初演された。

97年には酒井澄夫氏の潤色・演出でレビューシーンを盛り込んでリメークされ、星組が麻路さき主演で再演。07年には瀬奈じゅん主演の月組全国ツアー作としても上演された。

今回は酒井澄夫氏が監修し、潤色・演出は若手の谷貴矢が担当。正統派二枚目から個性的なキャラクターまでこなす月城は、秘めた過去を持つ騎兵大尉を硬軟織り交ぜて表現した。

領主の娘、ヒロインのカマラは海乃美月が、大人っぽさを漂わせて好演。物語の重要な鍵を握るペペル役は、東京、大阪公演で役代わりとなっており、東京の暁千星に代わって、大阪公演は風間柚乃。今春、新人公演学年(研7)を卒業する若手スターが、芝居巧者ぶりを発揮した。

当初は昨年9月に月城の全国ツアー初主演作として上演予定だったが、コロナ禍のスケジュール再調整で、東京、大阪公演としての上演が決まった。2月に東京・赤坂ACTシアターでの公演を無事に終え、劇団の地元・関西での公演がスタート。前日13日に通し稽古を終えた月城は「短い期間ではありますが、出演者一同、健康に気をつけて頑張ります」と約束した。

シアター・ドラマシティ公演は21日まで。