宝塚歌劇団100周年の14年5月から、花組トップとして“新世紀タカラヅカ”をけん引してきた明日海(あすみ)りおが23日、兵庫・宝塚大劇場で、退団公演「A Fairy Tale-青い薔薇の精-」「シャルム!」の初日を迎えた。

本来、存在しない「青いバラ」。男役17年にして「今なお、あこがれの場所」と語る宝塚での最後の役が、その精霊になった。「はかなさと美を表現したい」と言い、罪の色に染まった青色の発色にもこだわって作り上げてきた。

今公演は、自身の4代目相手娘役、華優希(はな・ゆうき)の本拠地お披露目。相手役4人目は、トップ制度固定後では最多。月組時代には劇団史上初の準トップとして、本拠地作に異例の役がわり主演し、トップ就任後は台湾公演にも主演し、5年半の任期を務めてきた。

芝居では、華演じる少女シャーロットに出会い、ひかれ合う精霊を演じ、ショーは「男役の集大成」と言い、取り組んできた。

パリの地下都市を舞台に、妖艶で美しいストーリーが展開。明日海は男役の王道、黒えんびに加え、最大の持ち味「華やかさ」を生かし、赤いマント姿、白い軍服スタイルのスーツと、多様な衣装で登場。ショーの終盤には、明日海が率いた花組を近くで支えた仲間と、個々にからみ、感謝を表現する場面もあった。

まずは、得意のダンスで「ダンスの花組」に貢献した水美舞斗(みなみ・まいと)にはねぎらいの意味もこめた振りでデュエット。続いて、男らしさを武器に過去には父役にもふんし、コミカル路線で新境地も開いた瀬戸かずやとはがっぶり手を組んだ。

最後は、次期トップに決まっている柚香光(ゆずか・れい)と2人で踊り、背中を押して送り出し。次代の花組をたくすパフォーマンスでわかせた。

宝塚大劇場公演は9月30日まで。東京宝塚劇場公演は、10月18日~11月24日。明日海は、東京公演千秋楽をもって退団する。