協会あいさつを行った八角理事長(元横綱北勝海)は、約10秒間、感極まったように言葉を詰まらせた。「千秋楽にあたり、謹んでごあいさつ申し上げます。本日……」。口をキュッと引き締めると「千秋楽を迎えることができましたことは、ひとえにテレビ、ラジオ、インターネットを通じて応援してくださった全国の皆さんからのご支援、関係者によるご尽力のたまものです」と続けた。

千秋楽の協会あいさつは通常なら十両の取組終盤に行うが、表彰式の直前に行う異例の形式に。初日のあいさつ同様、東西の土俵下に全幕内力士が、向正面側には審判部の親方衆が、NHKのテレビカメラがある正面に向かって立つ構図だった。

2月の段階では開催が不透明な状況だった。15日間を完走し、春場所担当部長の高島親方(元関脇高望山)は「1日1日気が休まることはなかったが、今日になって価値のある場所だった」と振り返った。