大相撲の貴乃花親方(46=元横綱)が25日、日本相撲協会に退職の届け出を提出したことを明らかにした。同日夕方に都内で引退記者会見を開き、年寄引退の理由を説明した。

貴乃花親方の会見終了から2時間後の午後8時半、日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)が記者会見し、同協会の見解を示した。それは貴乃花親方の主張を真っ向から否定するものだった。

告発状が事実無根の理由に基づいて作成されたことを認めないと親方を廃業せざるをえないなどの圧力をかけられた、一門に所属しない親方は部屋の閉鎖の可能性もある-。同親方の発言を広報部長は「このような事実は一切ありません」と断言した。また7月26日の理事会決定事項は文面化していないが、旧貴乃花一門の理事・阿武松親方(元関脇益荒雄)が「何回も説得を試みた」(同広報部長)という。

また引退届については、協会では通常「退職届」であり、その文言や書類の内容に不備があるとして、預かる形で受理は保留。届け出た代理人にその旨を伝えたという。

さらに力士らの転属についてこの日、協会に千賀ノ浦親方を呼んで事情聴取。貴乃花親方が転属の希望を伝えたのはこの日午後0時半で、千賀ノ浦親方は寝耳に水の様子だったという。また書類に千賀ノ浦親方の署名、押印がなく「貴乃花親方としっかり話し書類を作るように」求め、こちらも受理しなかった。「(辞職を)今朝、決断して昼に電話で1分足らずで『頼むね』というのはどうか。(辞職)届けを代理人が持ってくるのも前代未聞では」と広報部長。「実際に書類が整っておらず受理していない。年寄としては明日も出るのが普通」と今日26日の九州場所番付編成会議に審判部員として出席する見通しに言及。明日27日の理事会までの受理は不可能との見解を示した。

◆一門とは 連合稽古、冠婚葬祭などで協力関係にある複数の部屋の総称で、現在は5つの一門がある。もともと分家独立などで縁がつながっている場合が多い。1964年(昭39)までは、本場所で同じ一門の力士は対戦しない「一門別総当たり制」だった。協会全体でなく一門ごとに巡業を行うこともあった。脱退や移籍もある。最大派閥は出羽海一門で、力士出身の現職理事10人のうち4人を輩出している。